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勝ち残りのための新・集客戦略~「砂一の時代」×「透明性の時代」における新たな集客戦略の3ポイント〜(後編)

- ③コラボレーション戦略の事例② コラボイベントで3,000名の集客に成功したB社 -

「地域をもっと元気にできないか(活性化できないか)」という問いは、あらゆる地域が常に抱えている課題です。

自社がその主体者になろうとしたときに、新たな集客戦略の描き方ができるようになります。実際に、地域とのコラボレーションを進めることで、成果を生み出している住宅会社様が出始めています。

例えば、地域祭りの開催もその一つです。祭りの胴元に住宅会社様がなることで、地域の企業を巻き込んでいき、関わった企業のWIN-WINを実現します。

A社(年間完工60棟の実績)は、人口11万都市において、地域祭りを実施していますが、7003,000名を集めるイベントに成長させています。

縁日、フードコート、ビンゴ大会など地域のファミリーが楽しめるイベント設計になっているだけでなく、連携先として、地域の高校、ダンススタジオ、カフェ店舗などと組むことにより、集客効果を高めています。

▼ ひかり祭り当日縁日の様子

最大のポイントは、記名を集められる仕組みづくりであり、それによって、顕在客の受注にもつながる流れができています。

加えて、このイベントによって、自社の認知度・ブランド力が高まり、中長期的な意義も大きいことが特徴です。

例えば、家づくりコーナーを用意することで、足を止める来場客に声をかけるのもその一つです。警戒心が強い来場客に対応するための「接客シナリオ」も用意されており、ランクアップを狙う仕組みづくりをセットするのがポイントです。

▼ ひかり祭りブース様子

- コラボレーション戦略の事例③ 年間契約6棟の外部営業マンを生み出すC社 -

ここまで、さまざまな事例を挙げてきました。最後に、OB(オーナー)とのコラボレーションについて触れておきます。透明性の時代にあって、OBの声は最も信頼のおける出所です。なぜなら、実際にその企業で建てて住んでいるという事実を持つからです。

 

北海道のC社においては、完成見学会を別のOBが自由に閲覧できるスタイルを取っており、気軽に参加し、新規のお客様とコミュニケーションを取っていただく仕掛けをつくっています。OBの方には、OBだとわかるようにネームプレートをつけていただき、来場された方が気軽に声がかけやすい状況をつくっています。他にも、見学会施設内にボードを設置し、物件の感想を書いてもらう工夫をしています。各所に見どころが顧客の視点で記載されており、参考になる部分がたくさんあります。したがって、来場客はそのボードから、その企業の魅力を知り、家づくりについて深く学ぶことができます。

中立的な立場かつ実際に家づくりの経験者であるOBの声ほど、お客様の心に届くものはなく、この仕組みを取り入れたC社は、営業2名で受注60棟という高生産性の実績を上げています。

この章では具体的なコラボレーション事例について触れてきました。コラボレーション自体は古くからありますが、最大限に活用できている住宅会社様は極めて少ないといえます。

その最大の理由は、そうしたコラボレーションの方法と仕組みづくりの両面を理解している企業が少ないことによるのではないでしょうか。当然のことですが、ただコラボレーションをすればよいのではなく、その活かし方によって成果は大きく異なることを念頭に入れた上で、活動を進めていただければ幸いです。

■ 紹介・口コミ集客のポイント

- ①紹介・口コミ集客が求められる背景 -

まず、次の表をご覧ください。こちらは、全国の20代男女10,000人から、当社で取得したアンケート結果です。

特筆すべきは、FacebookなどのSNSでの口コミを「必ず利用する」と答えた方が20代前半で35%20代後半も25%以上いるということです。「利用するかも」を加えると、どちらの世代も75%を超えます。表の通り「知り合いに聞く」と並び、SNSでの口コミが購買活動に大きな影響を与えていることが分かります。

もう一つご紹介したいのは「住宅会社様のブランドイメージ」に関する調査です。

同じく20代男女から取得したアンケートです。

「非常に効果的」「効果的」の合計で順位をつけると

1位:「良い評判・口コミが流れている」
2位:「スタッフが生き生きと働いている」
3位:「ホームページが分かりやすい」

となります(20代後半で比較)。

この2つが、「砂一×透明性の時代」を端的に表したデータだといえるでしょう。

一つ目のアンケートデータについては、世の中に情報が氾濫しており、消費者はどの情報の正確性が高いのかが判断しづらくなっているといえます。その中で頼りにできるのは“実在し、中立的な立場の人間”を介した情報だと捉えているのです。

また、二つ目のデータも看過できません。「砂一の時代」以前は、企業で働いている社員のことを知ろうとすると、店舗などで働いている接客スタッフに接するか、マスメディアに露出している経営者のインタビューを読むくらいで、情報源が非常に限られていました。

そのため、「社員が生き生きと働いているかどうか」が、そもそも企業イメージの判断基準になり得なかった(判断するための情報量が不足していた)時代だといえます。

一方で現在は、消費者は「その気になれば、企業内部のかなり詳細な情報も知ることができる」といった感覚を持っています(実際にできるかどうかは別として)。

FacebookなどのSNSがインターネットでの活用ツールの主流となる中で、「利用者の口コミ情報を探す」ことができますし、「働いている社員のSNS」を探すこともできます(実名&勤務先を公表していれば)。

だからこそ、CM、チラシといった広告媒体だけではなく、「働いている社員」といった、リアルな情報すら判断基準の一つとなり得るのです。

- ②一億総メディアの時代 -

現在は「一億総メディア時代」と呼ばれ、SNSによって消費者が情報の「受信者」だけでなく「発信者」にもなっています。昨年にも「食品への異物混入」の証拠写真を消費者がTwitterに掲載したことを契機に、メーカーは販売自粛の措置を取った事例がありました。どのような業界であっても、不満・不信を持たれた企業は、ユーザーからSNSさらされる(実名で、批判とその証拠を投稿される)時代なのです。

これはつまり、いかに「悪い口コミ」を発生させず、「良い口コミ」を流すかが、企業の広報活動の生命線になってきているということです。ただし、言い換えると、満足度を一定以上に保ち、自社の「サポーター」を増やすことができれば、企業の評判は高まりやすいということでもあります。

自社の顧客に協力いただき、口コミを拡散することで、一般消費者にとっては「中立的な情報」を有利に働かせることができるのです。以下は、SNSを活かした口コミ拡散の成功企業事例です。

■ 事例:自社の「サポーター」を作り、口コミ拡散をコントロールするA社(地域密着系・注文住宅)

こちらの企業様では、自社のサポーターに、Facebookで口コミを拡散してもらっています。ただし、その口コミ発信を顧客任せにするのではなく、自社で「口コミ拡散をコントロール」していることが他社との違いです。

手順としては、まず自社のFacebookページに顧客の「地鎮祭」「完成見学会」「引き渡し式」の写真記事をアップします。そして、その記事を顧客自身にシェアしてもらうという流れです。この三つのイベントを選択した理由は、口コミの「発信側」「受信側」両方の心理を考えたときに、最も「拡散性が高い」と判断したからです。

すなわち、発信側としては「心を動かされたタイミングが、一番口コミを発信したくなるタイミング」であり、受信側としては「友人の一生に一度のお祝いごとだから祝福をしてあげたくなるタイミング」です。

そこで、「いよいよわが家の着工が始まります」とFacebook記事をアップしてもらいます。顧客の友人から一気に大量の「いいね」が集まります。結果、顧客、および顧客の友人に「自社の口コミ」を拡散してもらうことができるのです。

■ 事例:インスタグラム上で「フォトコンテスト」を開催しているB社(デザイン系・注文住宅)

自社のインスタグラムで定期的に「フォトコンテスト」を実施。具体的には、引き渡し済みのオーナーに「日常の自宅での暮らし方」を切り取った写真をインスタグラムにアップしてもらい、最も良い写真にユーザー参加型で投票を行っています。

これによって、自社顧客の「ライフスタイルのイメージ」に共感する人に対して、無料でリーチすることができる(インスタグラムで拡散するため)上、広告用の写真としても、通常は集めづらい「家具や居住者」が登場する、つまり「生活イメージが伝わる」写真素材を大量に集めることができます。

このように、SNSにより、住宅会社様にとっての「口コミ戦略」は大きく変遷しています。口コミが拡散するスピードの速さが、「リアル」と「WEB」では全く異なるからです。また、いずれの事例でも、使用した広告宣伝費は0円で、大量の「潜在客」を獲得できています。

「どのSNSを活かして」「どのような口コミを拡散させるか」を狙って実施できるかどうかによって、今後の住宅会社様のマーケティング効率は全く異なっていくでしょう。ただし、前提として「本質が求められる」(「不満」を持たれる顧客をなくし、「満足」いただく顧客を増やす)時代であるともいえます。

○自社は、顧客に「口コミ」を流してもらえるほど、感動され、評価されているか
○自社は、拡散性の高いSNSで「晒される」ようなクレームを発生させていないか

こうした「本質」を追求しながら、同時に顧客の評価をマーケティングにも活かすことができるかどうかが、「砂一×透明性の時代」における勝ち残り手段の一つといえます。

■ おわりに

新・集客戦略においては「砂一×透明性時代」というコンセプトのもと、勝ち残りの要因が変化していることに着目しました。

情報が届きにくく、見透かされる時代だからこそ、顧客への提供価値を集客段階から高めていく必要があるということです。

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