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アフターサービスをアフタービジネスに変えて不透明な時代を生き抜く ーvol.2ー

クレーム対応に終始しがちなアフターサービスが、実は新たな事業を生み出します。
その理由と事業化に向けた戦略を解説します。


■サービスは無償で行うものではない

 クリティカルシンキングの視点で、アフターサービスについてもう一つ考えてみたいことがあります。
 それは、サービスの有償化です。
 現状、多くの住宅メーカーなどが定期点検や補修工事などのアフターサービスを無償で行っています。
 顧客目線で見ると、無償のサービスにはあまり期待しません。10年点検の連絡が来なくても、補修の依頼をしてから2~3カ月放置されても「無償なのだから仕方ない」と考えます。
 メーカー側も同じで、無償ですから本気で取り組みません。売上にならないアフターサービスより新築営業に取り組んだ方が良いと考えますし、「クレーム対応はしたくない」「コストがかかるからやりたくない」と思うのも、そもそもの原因は無償だからです。つまり、アフターサービスは業務の一部と認識されていないのです。
 しかし、他業界は違います。例えば、iPhoneには購入後1年間の保証がついていますが、それとは別に2年間のサポートサービスがあります。このサービスは有償で、月当たり約1,000円かかります。本体価格10万円前後のiPhoneに月1,000円のサービスがつけられるなら、2,000万円、3,000万円の住宅にはさらに高いサポートサービスがつけられる可能性があります。
 車などにも同様の有償サービスがあります。他の業界では、商品を販売することより、販売した後のアフターサービスの方が利益になると気づいているところがたくさんあります。だからアフターサービスを充実させますし、一生懸命サービスを売るのです。
 アフターサービスにお金を払う人はいないと考える人もいますが、果たしてそうでしょうか。
 住宅メーカーと長く、良い付き合いをしたいと思っている顧客はいます。購入後の放ったらかし状態に不満を持っている人もいますし、お金を払ってでもきちんとフォローしてほしいと思っている人もいるはずです。
 サービスを提供する住宅メーカーとしても、有償のサービスなら本気になります。料金に見合うサービスかどうか考えますし、より高度で高額のサービスを作り出すことで売上にもつながっていくでしょう。
 そのように変えていくための鍵がサービスの有償化です。現状、無償でサービスしているとすれば、有償化できるものを抜き出し、サービス化します。アフターサービスがなければ、サービス内容を考えてサービス化します。サービス化はお金を取れる商品にするということです。結果、無償で行うイメージがあるアフターサービスは、適正な対価が受け取れるアフタービジネスに変えることができるのです。

 

■自分たちの宝の山を他社に奪われている

 具体的なアフターサービスの内容は、築年数に合わせながら作っていくことできます。
 例えば、築2年目でフィルターなど消耗品の交換を提案します。安価なものでも有償にすることで、顧客にアフターサービスは有償なのだと認知してもらいやすくなります。メーカー側の担当者も、これまでは顧客の「ありがとう」の声がモチベーションになっていましたが、有償化によって売上を作るという新たなモチベーションができます。
 築5年目になったら、防蟻工事や、化粧台、キッチン、浴室などの排水管洗浄が提案できます。築7年目は間仕切り工事やバルコニー床清掃、築10年になったら保証サービスの延長を提案することができるでしょう(図3)。

 

 または、設備や補修工事などをパッケージ化した独自の有償メンテナンスサービスを作り、提案することもできます。
 課金形態をサブスクリプション型にすれば月々の顧客の負担は小さく収まりますし、困りごとや相談を受け付けるコールセンターと連動させれば、顧客も安心して住むことができます。
 実際、年80棟ほど建てているビルダーがメンテナンスサービスを作ったところ、住宅購入者の6割以上が加入しました。料金は月500円のサブスクリプション型で、2年目以降に定期点検などを行うサービスです。
 営業も特に負担はなく、2年目の定期点検の際に、有償サービスを提案するだけです。顧客はしっかりとフォローしてほしいと思っていますので、興味を持ってくれます。
 「アフターサービスにお金を払う人はいない」という思い込みさえ排除できれば、新たな収入源を作ることは可能です。その瞬間から、クレームの山だと思われていたアフターサービスが新たな収益を生む宝の山に変わります。
 言い方を変えると、「アフターサービスはもうからない」「お金を払う人はいない」といった思い込みは、宝の山を放置するのと同じだということです。
 アフターサービスを手掛けている会社を見ると、例えば、ジャパンベストレスキューシステム、日本リビング保証、キャンディルなどは業績が良く、過去最高益を出しています。この分野に目を付けている外資系もあり、英国のホームサーブは大手商社と組んでこれから参入してきます。
 これら企業の収益は、もともとはメーカーが売った新築物件から発生しているもので、メーカーが自社で取れたはずのものです。
 さらに身近なところで言うと、トイレが詰まったときには水道トラブルの業者を呼び、有償で直してもらいますが、それも住宅メーカーで回収できたはずの売上といえます。
 新築事業は先行き不透明ですが、新築から生まれるアフターサービスはこれから広がっていきます。その部分を自分たちで回収し、さらに大きく育てていくために、アフターサービスのサービス化・有償化が重要なのです。

 

※本稿は、2020年1月に開催した「アフタービジネス構築セミナー」にて登壇いただいた株式会社住宅アカデメイア、中井喜之氏の講演内容と、同セミナーで登壇した当社コンサルタントの講演内容を編集したものです。

 

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