Column

コラム


気づき力

住宅会社では「CS(顧客満足)重視」「顧客第一主義」

といった方針をよく耳にする。

中には自社の理念として、壁に大きく掲げている会社もある。

 

 

 

 

 

しかし、本当の意味で「CS」に取り組めている会社は、

まだ極めて少ない。

 

 

 

 

何より、社員教育において、その「CS」という価値観を

落とし込めていないように感じる。

 

 

 

 

 

「CS」を実現するためには、社員一人ひとりの「ホスピタリティ」に

あふれた対応が欠かせないが、そもそも「ホスピタリティ」とは何なのか、

どうすれば「ホスピタリティ」が発揮できるのか、突き詰めて考えたことは

あるだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ホスピタリティは「気づき力」で磨かれる

 

 

 

 

 

ホスピタリティは、日本語で言えば「おもてなし」のことだ。

 

 

 

 

元来、日本人はおもてなし精神に溢れていると言われるが、

こと「仕事」となるとそれが発揮できない人が多い。

 

 

 

 

しかし、仕事でホスピタリティが発揮できればCSは高まり、

良い口コミの拡大や紹介の獲得、あるいはちょっとしたミスが

あったとしても大きなクレームにならないなど多くのメリットが

あるはずなのだ。

 

 

 

 

住宅業界と同様に、一人のお客様からのリピート契約は

見込みにくい業界でも、しっかりとホスピタリティ発揮できている

業界がブライダル業界だ。

 

 

 

 

特に、殆どがお客様からの口コミやご紹介で

成り立っているというあるブライダル会社では、

総じてスタッフが皆「気づき力」が高いことが分かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えばこんなシーン。

 

 

 

 

お客様が店舗に来店され、スタッフが駆け寄ってお迎えする。

受付を済ませていただく間に、担当スタッフはお客様のお名前を

全てのスタッフに共有する。

 

 

 

 

すると、他のスタッフがお客様とすれ違いざま、

「○○様、いらっしゃいませ」とお声を掛ける。

 

 

 

 

担当スタッフは、サロンまでお客様をご案内する間に、

結婚式とは直接関係のない質問を投げかける。

 

 

 

 

「お二人共通のご趣味はあるのですか?」

「お二人の思い出の場所などはございますか?」

あくまでも、お客様の好みや志向を知ることが目的だ。

 

 

 

 

 

例えば

お客様が「ディズニーランド」を思い出の場所として挙げたとする。

 

 

 

 

すると、その情報はいつの間にか他のスタッフへも伝えられ、

お客様にはディズニーをモチーフにしたお菓子と飲み物が出される・・・

 

 

 

 

このようなお客様の気持ちにそっと寄り添った気遣いが

随所に織り交ぜられていく。

 

 

 

 

だからこそ、お客様はこのブライダル会社での挙式を心待ちにし、

そして体験したことを友人たちに口コミして回るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■気づき力は一朝一夕では養えない

 

 

 

 

先に紹介したケースでも分かるとおり、

ホスピタリティを発揮するためには、

まずお客様のことをよく知ることが不可欠だ。

 

 

 

 

お客様が何に関心を持ち、どんなことにうれしさを感じるか。

お客様自身ですら気づいていない潜在的な要望に

先回りすることが必要だ。

 

 

 

 

 

それを「気づき力」という。

 

 

 

 

 

しかし、この「気づき力」は一朝一夕では高まらない。

 

 

 

 

高い気づき力を持つためには、2つの思考を意識して

身に着ける必要がある。

 

 

 

 

 

 

1つ目が「観察」。

 

 

 

 

お客様をよく「観察」し、お客様のことを知り尽くすことだ。

この「観察」には目で見る観察の他にも、聴いて知る観察も含まれる。

 

 

 

 

簡単に言えばお客様に関心を持つ、ということだが、

「関心を持て」と言われてもそれが具体的アクションに

結びつかない人は少なくない。

 

 

 

 

だから、「関心を持て」ではなく「よく観察せよ」と

アクションを指定した方がよい。

 

 

 

 

 

 

 

2つ目は「仮説を立てる」こと。

 

 

 

 

お客様を観察した結果、

お客様はこんなことを望まれているのではないか、

こうすれば喜んでもらえるのではないか、という仮説を立てること。

 

 

 

 

最初は、恐らくピント外れな仮説が出てくるだろう。

まだまだ観察が足りない場合もあれば、想像力が働かないこともある。

 

 

 

 

だからはじめのうちは、

その仮説を周りのメンバーや上長と意見交換することで、

段々と仮説の精度が上がっていく。

 

 

 

 

接客において、この「観察する」、「仮説を立てる」という行動を

繰り返すことで、お客様に対する「気づき力」は自然と高まっていく。

 

 

 

 

もし、CSを大事に考えていて、それでもなかなか現場で

実践できていないなとお感じなら、ぜひこの「気づき力」を

高めるトレーニングを取り入れてみていただきたい。