Column

コラム


ブライダル業界に学ぶホスピタリティ営業とは ~お客様を初回接客でファン化するには~(後編)

事 例②お客様と一緒に創るテーマプロデュース

― テーマプロデュースとは ―

次のテーマとして、お客様と一緒に創るテーマプロデュースのお話をします。

テーマプロデュースとはいったいどのようなものかというと、お客様を従来の営業のように、説得・納得させるものでもなく、ナビゲーションするものでもありません。テーマプロデュースとは、お客様と一緒に今後のライフスタイルを相談しながら進めていくことで、即決を獲得するということです。

一般的に多い営業の仕方として、どのようなお家作りをしたいですかと聴いてみたり、現在の家族構成などを聴いているのではないでしょうか。

このテーマプロデュースでは、それだけでなく、将来のライフスタイル、更に過去のライフスタイル、ご家族のスタートになっているであろう結婚式の話なども聴いていきます。

回りくどいと思われるかもしれませんが、過去、現在、将来のライフスタイルを話しながら、お客様だけのテーマを創り上げます。

そして、テーマが見えたところで、○○様の「ご家族のテーマは、△△ですね」と伝えます。すると、驚かれたような、気付きを得たような表情をされます。

このステップを踏むことで、どのような価値が生まれるかと言うと、住宅会社の人から、お客様にとってのパートナーへと変化します。

そして、パートナーとなった営業とお客様は、対面して説得する関係ではなく、○○様のご家族のライフスタイルを実現するために、同じ方向を見るチームへと変わります。

もし現場で、即決が出ない、プランの打合せの際に、お客様から間取り変更などが発生してしまうなどの問題が起きているのであれば、それは十分にテーマプロデュースが出来ていない可能性があるからです。

是非、ブライダル業界の参考事例をヒントにして頂ければ幸いです。

― ブライダル業界 ―

ブライダル業界でテーマプロデュースが実現出来ている会社の進め方を見てみましょう。

① お客様の過去の生い立ちを聴く
② お客様の理想の結婚式のイメージを聴く
③ お客様の将来像を確認する

将来像では、お客様の将来のライフスタイル、ご列席のお客様との今後のお付き合いなどを聴きます。

具体的にどのように進めているかというと、いきなり過去の話、未来の話をしようとすると、お客様もどのように答えたら良いか困ってしまいます。         

そこで、先ずは結婚式へのこだわりを中心に伺いながら、リズムと答えやすい雰囲気を創り上げます。次に、二人がやりたい結婚式から誰かに想いをつたえたいことなどありますかと伺うことで、視点を二人から列席者に広げていきます。

視点が広がったところで、将来のヒアリングを行います。将来どのような家庭を築きたいのか、あるいは、どのようなライフスタイルを望まれるのか、列席者との関係をどのように築いていきたいのか、などを聴いて、将来像を検討していきます。

将来像を聴いていくことで、お客様の頭の中に、現在と将来を検討してもらうことが出来ます。

そして最後に、過去のお話をお伺いします。二人が出会って、結婚を決意し、今会場探しをしている段階にあります。更にその前には列席者の方々と出会い、思い出を創り上げてきたストーリーが多く眠っています。この話を聴き出すことで、二人だけでなく、列席者の多くの方が関わりを持てる結婚式のイメージを導き出すヒントに変わっていきます。

では、具体的にどのようなことを聴いていくかというと、すでに会話のリズムは出来ているため、過去の二人の出会いから話を聴いていきます。

出会いのきっかけ、思い出の初デート、レストランなど、二人にまつわるものを聴いていきます。そして、列席者との関わりが小学校、中学校から、例えば部活で繋がった話などを聴いていきます。当然、現職に入るきっかけなども大事な視点になりますので、聴いておきます。

最後に、家族、特に親との関係性を伺います。そうすることで、結婚式の瞬間にしか伝えられない思いをまとめることが出来ていくからです。

現在、将来、過去と、30分程度お時間を頂戴してお客様から頂いたヒントが100個以上集まります。それらをグルーピングし、お客様と、3つ程度にまとめたテーマを共有します。

お二人のウェディングは○○のように進めたら、二人も、列席者も家族も一生忘れない思い出になりますねとお伝えします。
このテーマを聴いた瞬間、お客様は自分たちでは気付けなかったアイディアに感動し、強い共感を得ることが出来るのです。

私たちがすべきことは、現在の話だけでなく、過去、現在、未来を繋いだ時に、どのようなテーマを抽出するかです。そうすることで、お客様の納得度は大きく変わり、即決を頂くことが普通になります。

― 女性の価値観 ―

女性と男性ではこんな違いがあります。男性は「何も言わなくても、心が通じ合う関係」に安心し、女性は「何でも話し合い、ともに行動すること」に充実を覚えます。

今回のテーマ選定をとおして、女性の価値観である、何でも話し合い、ともに一緒の結婚式を創るという行動となるため、女性は高い充実感を得ることが出来ます。

また、テーマ選定をする際の空気感の創り方なども、もちろん重要になります。なぜならば、意気投合することで、本音で話してもらえる関係になるからです。

そもそも、人は何をするかよりも、なぜするのかを理解することで、自発的に行動を取ります。テーマプロデュースでは、結婚式のテーマのなぜという理由と女性の価値観を掛け合わせることで、お客様の納得性と高い充実感を創り上げました。ここまでするから、パートナーシップを築けるのです。

― 住宅業界の取組み方 ―

実際に取組んでいる住宅会社を見てみると、お客様との信頼作りが出来た後に、ブライダル業界と同様に、お客様の過去~現在~将来の話を伺い、テーマを選定しています。

仮に、「家族の絆」というテーマ選定が出来たとして、家作りにどのように活かしたかというと、下記のようになりました。

お客様の絆というテーマを詳細に検討してから、家作りの提案をしていきます。

二人の始まりの結婚式は、玄関から、リビングまでにニッチ収納を作ることで、いつも家族の絆の原点を感じてもらえるようにします。
次に、現在の子供との繋がりを感じるためにリビングには子供おもちゃを入れるスペース、勉強が出来るスペースを作りました。
また、1階から2階に吹き抜けを作り、吹き抜けに面した部屋に小さな扉を作り、扉を開けるとリビングをのぞき込めるようにしました。
そして、思春期の時にも顔を見られるようにと、リビング階段を作ることで、繋がりを感じてもらえる工夫をしました。

上記のような商品提案でしたら多くの住宅会社でも可能だとは思いますが、大切なのは商品提案でなく、最初にヒアリングし、テーマを創っていることです。テーマを創った後に提案をすることで、仮に同じ家の案内をしたとしても、納得度も満足度も大きく変わります。

つまり、大切なことは、お客様と一緒にテーマを選定し、お客様にしかない家作りが出来そうだと共感してもらうことで即決を獲得することなのです。

■ その他5つのポイント

その他5つのポイントもお客様の満足度を上げるための視点が多く含まれています。また、紹介した2点に関しても、詳細が伝えきれていません。
もし、もっと詳しい内容を知りたい場合は、是非、お問い合わせ頂ければ幸いです。

■ 最後に

ここまで異業種ブライダルの即決営業ノウハウを住宅業界にどのように紐づけ、活かすかについてお話してきました。
大切なことは、住宅会社の選定、契約に関して女性の関与の幅が大きくなっていることにいかに対応するかということです。

女性をどのようにして満足させるか、また、逆に女性を味方にすることで、現在よりも成果を大幅に上げていくことも可能です。
このコラムが皆様の契約率アップのヒントになってくれることを切に願っています。

<PREVIOUS