人口減少と地価の下落から予想されるのは、
より良い土地だけが売れる不動産事情である。
空家率が上昇し、土地が余ると、条件の悪い土地には買い手がつかなくなり、
そこに地価の下落が加わると、より条件の良い土地が選ばれるようになる。
そうすると、良い土地上には常に建物があり、
建て替えずともリフォームで済ます買い手が増加することが予想される。
すでに首都圏ではストック市場が活性化しており、
2014年の東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の住宅購入者のうち、
中古住宅を購入した人の割合は66.5%である。
中古住宅を購入した人の内、
最初から中古住宅のみを検討していた人の割合は、24.0%であり、
多くの人が検討の過程で、中古住宅の選択へと切り替わっていったことが分かる。(図1参照)
さらに、最終的に新築住宅を購入した人の内、
中古住宅も検討した割合は、50.4%となっている。(図2参照)
また、中古物件購入の理由の1位は
「希望エリアの物件だったから」(60.9%) であり、
土地が良ければ、新築より安い建物が選ばれるようになっていると言える。
ストック市場への展開は、大手ハウスメーカーでは進んでいるが、
地域ビルダーの取り組みはこれからである。
そこで、注目すべきは、
急成長拠点拡大を進める飯田グループのストック市場への取り組みである。
飯田グループのストック数は、2013年までの着工で、33万1700戸である。
そのうち築10年以内のストックが26万戸と、築浅な物件が多く、
中古としてこれから流通することが予想される。(図3参照)
飯田グループの物件は、建物自体のコストを低く抑えており、土地の価格ウェイトが高いため、
中古販売時の価値目減り分が少なくなるという特徴がある。
今後はネット集客を中心とした直販も行っていくとの発表もあり、
ますますストック市場における飯田グループの住宅は大きなウェイトをしめるようになるだろう。
また飯田グループも物件の特徴として、低価格の追求の結果、
非常にシンプルな内装となっている点がある。
このことから、住宅購入後、資金に余裕が生じると、
内装のリフォームの需要が生じることが予想される。
このリフォームニーズ、
中古流通の流れに乗って生き残る戦略も工務店の選択肢の1つだろう。
今後、新築市場は中古市場と規模を逆転させ、縮小傾向となることが予想される。
いかに自己のストックをビジネスにつなげるか、
ストック市場を自分のビジネスチャンスにつなげるかが、生き残りのカギとなる。