―「しつこさ」と「熱心さ」の違い―
あなたは若手営業メンバーから、このような報告を受けたことはないだろうか。
若手営業メンバーが、ある案件を接客したところ
お客様の印象は悪くない様子。
あなたも状況は都度見ていた。
あなたから見ても印象は良かった。
しかし、最後にお客様から次の様に言われたという報告を受ける。
お客様:もう少し考えさせてもらえるかな。
色々と迷っていて・・・
決めたら連絡して、また来るから!
あなたは、思う。
「色々って何んだ?」
営業メンバーは言う。
「私も聞いたのですが、『まあ、大きな買い物だからね、
決めたら、連絡するよ』と言われました。」
「それ以上詰めたら『しつこい』と言われそうだったので、
あまり聞けませんでした。」
なにやらため息が出そうな、若手メンバーの報告である。
若手メンバーは、お客様に「しつこい」と言われることが怖い。
もし言われてしまうと、その後フォローができなくなってしまう。
そう考えている。
そんな若手メンバーの報告を受けて、あなたは、こう指導したことはないだろうか。
「『しつこい』と言われてからが営業だろ!
なんでそこからもう一歩踏み込めないんだ!!」
その後、あなたの指導を受け
若手メンバーはお客様に連絡するも、結果は同じ。
1週間経っても、2週間経ってもお客様からの連絡は来ない。
この様なケースでは、結果として
「連絡がつかなくなる」もしくは、「他で決めた」
となる事が多いのではないだろうか。
■非契約者の声
とある注文住宅の会社で、
過去1年間の非契約者を対象にアンケート調査を実施した事がある。
その住宅会社の初回接客時の満足度は、
非契約者でも「大変満足」もしくは「満足」が約75%とまずまず高い。
非契約者うち、約40%の方は他社で契約済みだが、
約50%の方はまだ検討中のお客様である。
このデータを見ると、まだまだ追える案件が
あることが分かる。
ちなみに初回接客後のフォロー状況については
「頻繁にフォローがあった」と回答した方は、4%にも満たない。
「何度かフォローがあった」と回答した方でも、30%程度である。
多くの方にとって住宅は、一生に一度か二度の大きなお買い物。
何度かしか会った(話した)ことがない、
信頼できるかどうかも分からない営業担当者から
どれだけのお客様が「買おう」「建てよう」と思うだろうか。
営業メンバーから見ても、初回接客時のお客様の印象は良い。
事実、お客様の満足度も高い。
しかし、フォローがされない。
営業メンバーの気持ちも理解はできる。
最初は良い感じで進んでいても、
お客様から「しつこい」と言われてしまうのが怖くて、
身動きが取れなくなってしまうのだ。
一方で、お客様からこんな声も挙がる。
「熱心さが足りなかった」「売る気が感じられなかった」
だから、買わなかった。
■「しつこさ」と「熱心さ」の違い
「しつこい営業」と「熱心な営業」の違いは何だろうか?
営業は、「しつこい」と言われてからが勝負なのだろうか?
「しつこい」と言われても、
足繁くお客様の家を訪問し、連絡を続ければ良いのだろうか?
そうすると、いつしか「しつこい」が「熱心」に変わるのだろうか?
いや、そんなはずはない。
是非、あなたも部下に次の質問をして頂きたい。
その答えは1つである。
「それは、『誰のため』のフォローになっているのか?」
という事だ。
「しつこい」と言われる営業メンバーは、
「自分のためだけ」のフォローを行っている。
「その後のご状況いかがでしょうか?」
「他の会社さんもご覧になりましたか?」
「今週末、イベントをするので、来て下さい」
営業メンバーから、その様な情報をもらっても、
お客様にとって、何がプラスになるのだろうか?
ただ営業を進めたいだけでアプローチを重ねても
お客様からすると、時間の無駄である。
結果、「決めたら連絡する」になるのである。
「熱心さ」を感じて頂けるフォローとは、
お客様の検討が前に進むことに配慮したフォローである。
つまり、「お客様のためのフォロー」であるということだ。
「先日お客様がおっしゃっていた~~について調べて参りました」
「実際に手元からお金が出るタイミングを気にされていたので、
お客様のご状況に合わせた一覧表を作成して参りました」
お客様も自分のために考え持ってきてくれた情報には感謝し、喜んでくれる。
もちろん、情報提供だけではダメだ。
良い情報だけ提供していても、お客様は満足できない。
意思決定の踏ん切りがつかない。
だから「決めて欲しい」という気持ちの後押しも大事なのだ。
「このお客様に間違いのない家づくりをして欲しい」
「このお客様に自社の家に住んで頂きたい」
お客様が意思決定できれば、自分の喜びにもなる。
お客様にも自分にも嬉しい結果に向けて、一生懸命考えてフォローする。
そうすると、必然とお客様の反応も変わってくる。
「○○さんが熱心だから、あなたの会社で建てることに決めたよ」
この言葉こそ、この仕事をしている上で、無上の喜びではないだろうか。
お客様のために、「しつこい」から「熱心」へ
御社の営業メンバーは、「自分のためだけ」のフォローをしていないだろうか。
是非、営業メンバーに質問して頂きたい。
「それは、誰のためのフォローだ?」と。