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コラム


若手強育Vol.11 マイルストーンの重要性

■はじめに

御社のマネージャーは、若手メンバーと目標に至るまでの

「マイルストーン」がきちんと摺り合わせできているだろうか。

 

 

 

例えば、「年間受注目標」を設定している企業は多いが、

「年間受注目標」を達成するためにはそこに至るまでのプロセスのゴール、

すなわちマイルストーンの設定が必要になる。

 

 

 

今回のコラムでは、若手メンバーを育てる

「適切なマイルストーン設定」の方法をお伝えしようと思う。

 

 

 

 

■業績が悪いA社と業績好調のC社の違い

 

 

 

▽業績が悪いA社のマネージャーと若手メンバーの会話

 

 

 

(所長) 今年度のA君の年間受注目標は年間8棟だね。

 

(若手メンバーA) 去年の実績が6棟でしたから去年以上に頑張らないと

達成できませんね。

 

(所長) そうだね。トップセールスのBさんは毎年安定して

15棟を売っているから、君も見習うといいよ。

 

(若手メンバーA) そうですね。Bさんみたいになれるように頑張ります!

 

 

 

▽業績が良いC社のマネージャーと若手メンバーの会話

 

 

 

(所長) 今年度のC君のノルマは年間8棟だね。

 

(若手メンバーC) 去年の実績が6棟でしたから去年以上に頑張らないと

達成できませんね。

 

(所長) そうだね。トップセールスのDさんは毎年安定して

15棟を売っているから、君も見習うといいよ。

DさんとC君の違いはどこにあるのかな?

 

(若手メンバーC) やはり、Dさんは初回接客における次回アポ率が

私と比べてとても高いです。

私が10%前後なのに対して、Dさんは30%近くありますから。

 

(所長) それはよい気づきだね。じゃあ目標達成のためにまずは

次回アポ率20%を目指してはどうかな?

 

(若手メンバーC) 30%は難しいと思いますが・・・20%なら頑張れば

何とかなりそうです。

 

(所長) では、1つ目のマイルストーンは次回アポ率20%で決定だね。

次回アポ率20%にするためには、どうすればいいのかな?

 

(若手メンバーC) 着座してからの接客時間を伸ばすことではないでしょうか。

Dさんは、2人に1人は着座してから90分以上接客

していますが、私は60分にも満たないことが多いです。

着座してからお客様にきちんと価値づけ出来てこそ、

また会いたいと思って頂けるのだと思います。

 

(所長) では、2つ目のマイルストーンは、着座して90分以上お客様と

話す割合20%以上にしてみてはどうかな?

 

(若手メンバーC) わかりました!

90分間お客様と話せるように、Dさんにアドバイスを

もらいながら今月中にトークスクリプトにまとめて、

ロープレトレーニングを行います!

 

 

 

■A社とC社の違いは何か

 

 

 

皆様の会社でも、A社のような会話がなされてはいないだろうか?

 

 

 

住宅業界では、先輩の姿を見て学ぶということが一般的になっているが、

漠然と「●●さんみたいになる」という目標を与えるだけでは、

短期的に若手メンバーを戦力化することは難しい。

 

 

 

本来はC社のように、成果を上げている社員と若手メンバーの違いを

具体的に洗い出し、同じように成果を上げられるよう

適切なマイルストーン(プロセスゴール)を設定することが重要となる。

 

 

 

そこで、マイルストーンを設定するときの視点として『SMART』という

5つの軸をご紹介したい。

 

 

 

S:Specific=具体的で

M:Measureble=測定できて

A:Achievable=達成可能で

R:Reasonable=組織ミッションに沿っていて

T:Time-bound=納期・スケジュールがある

 

 

 

つまり、マイルストーンは「頑張る」「一生懸命やる」といった

精神論であってはいけない、ということだ。

 

 

 

さらに特筆すべきは、「Achievable=達成可能で」という軸が含まれている

ことであり、これは「達成可能性」がモチベーションに大きく影響すると

考えられているためだ。

 

 

 

人は、「頑張れば手が届きそうな目標」が与えられたときに

最もモチベーションが高まり、力を発揮すると言われている。

 

 

 

 

 

 

つまり「簡単すぎる」マイルストーンだと、

一生懸命努力をしようというモチベーションが高まらず、

逆に「どう頑張っても達成が不可能」と感じるようなマイルストーンでは、

最初から諦めてしまいかねない。

 

 

 

従って、「努力次第で達成できるイメージが持てる」ぐらいの目標や

マイルストーンを設定することが何より大事と言える。

 

 

 

若手メンバーの今の実力から、適切なマイルストーンを設定して、

達成へのモチベーションを存分に高めていくことが望ましい。

 

 

 

 

■将来の夢や目標から逆算したマイルストーン設定の重要性

 

 

ここまでは、短期的な目標を達成するための

マイルストーン設定の重要性をお伝えしてきたが、

同時に必要なことは、一人ひとりの将来の夢や目標から逆算した

マイルストーンを一緒にすり合わせておくこともまた重要である。

 

 

 

まずは、「レンガ積みの話」という有名なビジネス寓話を一つご紹介する

 

 

 

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ある人が道を歩いていると、レンガ積みをしている職人が3人いた。

それを見て、「何をしているのですか?」と1人ずつに聞くと、

それぞれ次のように答えた。

 

 

 

1人目は、「見てのとおり、レンガを積んでいるのさ」と。

2人目は、「レンガを積んで教会を作っているのさ」と。

3人目は、「教会を作って、皆を幸せにしたいんだ」と。

 

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この話に出てくる3人のレンガ積みの中で、

最もモチベーションを高く働いているのは

3人目のレンガ積みであることは疑う余地はないだろう。

 

 

 

1人目のレンガ積みは、仕事をする「行動」について答えている。

2人目のレンガ積みは、仕事をする「目的」について答えている。

3人目のレンガ積みは、仕事をする「意義」について答えている。

 

 

 

短期的なマイルストーンにとらわれ過ぎると、

目先の「行動」にばかり目がいってしまい、

自分自身が仕事をしている「目的」や「意義」を忘れがちになる。

 

 

 

そうなると、いつしかモチベーションは下がり、

仕事に対する主体性が失われていく。

 

 

 

だからこそ、今の仕事がそれぞれのメンバーにとって

どのようにキャリアアップに繋がっているのか、

将来の目標に対してどう近づいていくのかを

明確にしておくことが必要なのだ。

 

 

 

従って、マネージャーは若手メンバーと定期的に

仕事をする「目的」や「意義」について確認をする機会を持ち、

中長期的なキャリアプランを一緒に描くこともまた、

重要な役割と言える。

 

 

 

■中長期的なキャリアプランを描く仕組み『CDP』

 

 

LiB社では、中長期的なキャリアプランを摺り合わせる仕組みとして

『CDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)』を採用している。

 

 

 

『CDP』とは、若手メンバーに「自身が大切にしている価値観」や

「将来の目標・夢」を聞いた上で、そのマイルストーンとして

「1年後、3年後にありたい姿」を描いていくことと、

その人が持つ強みや弱みを知り、組織の中で

どのような活躍・貢献ができるかを一緒に考えるプログラムだ。

 

 

 

マネージャーにとっては、部下への理解が深まり、

「将来の目標や夢」に繋がるような業務を与えるきっかけにもなる。

 

 

 

部下にとっては、自分が今担っている仕事が、

「将来の目標や夢」の達成とどのように繋がっているのか、

自分の仕事の「意義」を確認する機会となる。

 

 

 

当然「意義」が感じられれば、よりモチベーション高く

仕事と向き合えるようになる。

 

 

 

ぜひ皆さまの会社でも、「短期的な目標」と「将来の夢」それぞれの

マイルストーンについて、若手メンバーと考える機会を作っていただきたい。