■はじめに
「管理」という単語を聞いた時に、皆様は何を想像されるだろうか。
恐らく多くの方は、完成現場見学会等の集客数、見込客数、契約数や
ホームページのアクセス数や反響数といった実績数値の管理を
思い浮かべられるのではないだろうか。
営業会議の場でも、
「今週のイベントには〇名が来場し、
新規リストは〇件、再来客は〇件でした」
という実績報告や、
「追客中の案件である○○様が今こういう状態です」
という進捗報告を聞き、社長やマネージャーが個別に対策を指示するといった
やり方が一般的ではないかと思う。
しかし、本来管理する項目はそれだけでは十分ではない。
例えば、
「今日のイベントは新規が6組来て営業マン3人で対応したが、
次回アポの取得数は0件だった」
といった報告で、どうすれば次回イベントでの次回アポ数が増えるのか、
具体的な改善活動につなげていくことができるだろうか。
同じ「次回アポ0件」でも、ベテランのそれと若手メンバーのそれでは
問題点が全く異なっていることが多い。
つまり具体的な改善アクションが見えてこない数字だけを
管理していても成果には繋がらない。
以下では「若手メンバーの改善活動につなげる」という視点から、
管理のあるべき姿についてお伝えさせていただく。
■営業上のボトルネックを特定する「プロセス管理」
完成現場見学会を開催した際に、お客様が来場してから
次回アポを取得するまでに、営業マンは何らかの接客プロセスを経ている。
全国のトップセールスの例を見ると、その接客プロセスは
来場→アンケート取得→モデル案内→着座→60~90分面談→次回アポ取得
といった形で細分化できる。
この来場から次回アポ取得までのプロセスの中で、
どこが良く、どこに問題があるのかを明確にするのがプロセス管理である。
例えば、Aさんは10人接客すれば9人を着座させてじっくり話すことができる。
しかし、60分以上面談ができている数は9人の中で1人である…となると、
Aさんの課題は60分話し込むだけの興味付けトークができていないのではないか、
という仮説が立つ。
その場合、
「60分面談のための興味付けトークの策定とロープレトレーニング」
という形で改善活動を具体的に進めることができるのである。
最終的な成果と特に相関の高いと思われるプロセスを特定し、
その徹底度を確認することで、改善課題が明確になる。
■目標をより意識する「オープン管理」
かの有名な「鉄鋼王」アンドリュー・カーネギーは、
自身の成功哲学として、以下の5ステップを欠かさず行っていたと言う。
(1) 目標、目的を明確に持っていた
(2) それを紙に書き出し、壁に張っていた
(3) その紙を毎日チェックしていた
(4) 達成したら紙を破いていた
(5) 次の目標を紙に書き出し、壁に張っていた(→③へ)
カーネギーは目標を自分(チーム)の心の中で留めるのではなく、
しっかり紙に書いてオープンにし、怠らずに進捗確認を続けたことで、
目標をより意識して活動でき、成功に至ったということである。
同じように、営業活動も出来るだけ「オープン(見える化)」にし、
常に意識させる工夫が効果的であると言える。
■非効率な活動を削ぎ落とす「先行管理」
ポイントをお伝えすると、先行管理とは以下の5ステップを
若手メンバーと一緒に考えることを指す。
① 各タスクのゴールを明確化する
② 各タスクの段取りを明確化する
③ 各タスクの見込み工数を明確化する
④ 各タスクの納期を明確化する
⑤ 各タスクをスケジューリングする
若手メンバーは上司ほどには仕事の全体像が見えていないため、
ここまで細分化して刷り合わせておかないと、
納期ぎりぎりに取りあえず間に合わせるような仕事の仕方になってしまいがちだ。
少なくとも前の週の週末には、翌週、翌々週の動き方が
明確になっていることが理想である。
本テーマの詳細は本若手強育コラムのvol4「ゴール達成志向のスケジューリング」
を御覧頂きたい。
■若手メンバー自ら改善サイクルを回す「自己管理」
プロセス管理、オープン管理、先行管理と
最初のうちは上司、あるいは教育担当者が細かく管理を
していくことが重要だが、仕事のサイクルを回していく中で、
最終的には若手メンバー自身から報告が自然と上がってきて、
それを決まったタイミングで上司がチェックできるようになることが理想である。
ここまで来れば、若手メンバーも積極的に自らの目標に向けて活動が
できているので、上司が細かくチェックしなくても、
より良い改善活動が自然と進むようになる。
これが会社全体、チーム全体で出来てくると、会議の時間が減るなど、
全社としての生産性向上にも繋がるのである。
■おわりに
あなたの会社はここで紹介した4つの管理について
どのくらい徹底できているだろうか。
成果を上げさせるためには、単に「結果指標」だけでなく、
活動のプロセスそのものを詳細に見ていくことが重要だ。
逆に、ここまでやれば、次に取るべきアクションがシンプルになり、
成果に直結する動き方が鮮明にイメージできるようになる。
若手メンバーを預かる上司、教育係の皆さんには、
是非一回一回の活動を細かく振り返る習慣を持たせ、
改善に繋げていく仕組みを作っていただきたい。