ロープレ文化をつくろう ~お客様を練習台にするな!~
ある大手ハウスメーカーで、営業成績が非常に優れた支店の営業マン達に
「普段の業務で、何に時間を使っているのか?」という
時間の使い方の調査をしたことがある。
あなたは、優秀店舗の営業マン達は何に時間を使っていたと思うだろうか?
ぜひ答えを考えてみてほしい。
その質問の答えは・・・
実は「ロープレ」であった。
意外な答えと思っただろうか?
ただ、よく考えると理にかなった答えである。
ロープレとは、プロ野球選手にとっての「バットの素振り」と同じである。
「素振り」の練習をどのチームよりもたくさんしているチームの方が、
たくさん打てるようになるのはご理解いただけると思う。
適切な練習方法があった上で、もっとも練習量が多い営業チームが
強い営業組織となる。
当たり前と言えば当たり前であるが、成長の原理に則った調査結果と言えるだろう。
さて、あなたの属する組織では、どれだけ「素振り」に時間を使えているだろうか?
その練習量の違いが、若手の営業マンが強く育っているか、育っていないか
という差となって表れる。
若手を早期に一人前の営業マンに育てられる組織には、いくつかの共通点がある。
今回はその共通点の1つである「ロープレ文化」についてお伝えしたい。
ぜひあなたの属する組織にも取り入れてほしい。
■ロープレに対するマイナスイメージを払しょくしよう
「ロープレをしよう!」と言われた時に、メンバーはどんな風に思うだろうか。
「ロープが大事なのは分かるけど・・・」
「あまり好きになれないんですよね・・・」
そんな風に思う人も、残念ながら非常に多い。
ロープレをネガティブに捉えている営業組織では、
日頃のロープレが以下のようなスタイルになってしまっていることが散見される。
○ロープレ実践者がリーダーや皆から「ダメ出し」や「批判」ばかりされる
○毎回同じテーマなので、惰性でロープレを続けてしまう
○一度ロープレを始めると時間が長くかかり、業務時間を圧迫する
・・・これではメンバーがロープレ嫌いになるのも当たり前である。
ロープレは、
①恥ずかしい
②問題を指摘される
③時間がかかる
④成果が出ない
⑤飽きる
だからやりたくない。
ロープレ嫌いの理由は主にこの5つに集約されるのだが、
御社のメンバーでもそんな声が上がっていないか、思い当たる節はないだろうか?
もし思い当たる場合は、ぜひロープレのやり方・方法を見直してもらいたい。
具体的には、ロープレ嫌いの理由を全てひっくり返すことだ。
① 恥ずかしい ⇒ メンバー「全員」で「同時」に実施する
② 問題を指摘される ⇒ 「前向きなアドバイス」のみに絞る
③ 時間がかかる ⇒ 3~5分ほどの「短時間」で繰り返す
④ 成果が出ない ⇒
「課題」となっているテーマの「スキルアップ」を目的にする
⑤ 飽きる ⇒ テーマを「変える」ことで「新鮮さ」を持たせる
上記を踏まえて実施することがポイントである。
ロープレの手法・進め方としてはいくつか型があるが
その型でも代表的な「かかり稽古」という手法を今回はご紹介したいと思う。
■かかり稽古
かかり稽古とは、多人数で、繰り返しロープレを行い、
発揮能力を高めるためのトレーニング手法である。
同じテーマのロープレを、相手を変えながら2度3度と繰り返し、
他人のトークなどを参考にして自らのトークに磨きをかけていくやり方だ。
進め方は、以下の図のように二列に並び、
向かい合っている片方の列が営業マン役
もう片方の列がお客様役と設定する。
営業マン役がお客様役に対して、約3分間で、全員で一斉にロープレを行う。
テーマは「買い時を訴求するトーク」、「自社の差別化トーク」、
「お客様に信頼されるための引き出しトーク」など
“短時間で伝えられる内容で”“強化すべきテーマ”を選定して行っていく。
3分間のロープレが終わったら、お客様役が1分間で営業マン役に
フィードバックをする。
そのときは「ダメ出し」ではなく、「ここが良かったよ」とか
「こうするともっと良くなると思う」といった前向きなアドバイスを
することが大切だ。
1分間のフィードバックが終わったら、今度は営業マン役とお客様役が
攻守交代してロープレを行い、同じ流れを繰り返す。
ペア2人のロープが終わったら、以下の図のように
固定された1人のメンバーを除く他のメンバーが1人ずつ右へずれて、
別のペアを組んで、再度ロープレを行う。
かかり稽古の最大のポイントは、3分間でテンポよく
ロープレを繰り返していくことである。
こうすることで、全員でロープレをするので恥ずかしくなく、
前向きな意見がもらえ、短時間でスキルアップにつながり、
飽きることなくロープレができる。
実施するタイミングとしては、朝礼や営業会議の前後の
15分ぐらいの時間で十分だろう。
営業マン全員でかかり稽古を実施するのが効果的である。
■お客様を練習台にしてはいけない
本コラムの冒頭にお伝えしたように、ロープレとは野球選手における
「素振り」である。
「素振り」をしないで、試合に臨む野球選手はいるだろうか?
もし、そんな選手がいたら決して「プロ」と呼べない。
プロ契約の打ち切り=クビになってしかるべきである
同様に、私たち住宅営業マンも「プロ」である。
プロであるのに、若手に「素振り」の練習をさせずに、
接客をさせていないだろうか。
もしそのようなことがあれば「お客様」に対しても「会社」に
対しても失礼であり、プロとしての責任を果たしていない。
素振りをせずに、お客様を「練習台」にしてはいけない。
練習をしない営業マンはバッターボックスに立たせていけないのである。
そのため若手を育てる立場の方は、強い営業組織をつくるための第一歩として、
ぜひロープレ文化を社内で作り上げていただきたい。