ある企業の会議室でのやり取り。
リーダー:「よし、じゃぁこれからはこの方針で頑張っていこう!」
メンバー:「お言葉ですが、その方針には○○というリスクもありますし、
今は忙しくてメンバーも足りなくて…」
リーダー:「それじゃあ君らは一体どうしたいんだ。代案は有るのか?」
メンバー:「いえ、そういう訳では無いのですが…」
決定力、実行力の無い会議でよく見かけるやり取り。
御社でも起こっていないだろうか?
「会して議せず、議して決せず、決して動かず」
という言葉も有るように、それは決して珍しい事ではなく、
多くの企業、組織で起こっている。
しかし、ちょっと考えてみて欲しい。
一昔前、インターネットが登場した頃には、
世の中の変化速度を例えて「ドッグイヤー」と言われていたが、
今は更にその速度が上がった事を表して「マウスイヤー」と言われる時代だ。
そんな中で上記のような悠長で何も決まらない会議をしていると、
その組織は大きく出遅れてしまう。
例えばこんなシチュエーション。
とあるエリアの不動産会社に土地情報に関するFAXが一枚届いた。
地場の不動産屋からのものではなく、遠くの不動産屋が縁故で
仕入れた土地を転売しようと、その土地周辺の不動産会社に
一斉にFAXを流したのだ。
実はその土地は、その地域では大人気のエリアだったのだが、
FAXを受け取った会社の対応は様々だった。
ある不動産会社では、この土地は良さそうだ、という事で
急きょ役員を集めて会議を開き、議論を重ねて検討を進めた。
ある不動産会社では、この土地は仕入れたら売れるかどうかを
営業マンを集めて意見を聞いた。
ある不動産会社では、すぐにFAXの送信元に電話を掛けて
現地を見に行き、その場で買付けを入れた。
1つ目の会社も、2つ目の会社も、結果的には
購入の意思決定をし、3つ目の会社よりも高い金額を示したものの、
結局その土地を仕入れる事が出来たのは3つ目の会社だった。
スピード感ある対応が決め手となった。
そして後日、その土地は一ヶ月を待たずに完売した。
行動には当然リスクが伴う。
しかし行動しない者には果実もまた訪れない。
「即実行」の風土こそが、この不確実性の高い時代における
最も強い競争力となりうるのだ。
まずはやってみて、やってみながら課題を見出し
解決していくという動き方が、今の時代は求められている。
つまり「走りながら考える」ということだ。
そうした風土を作り出すために、
経営者やリーダーに求められる事とは何だろうか。
1)率先垂範
2)繰り返しの発信
3)しつこい確認と実行しない者への罰則
4)実行している者への賞賛
「即実行」の風土をつくるためには、
「悠長な事を言っていられない」という緊張感のある環境を
構築する事が不可欠だ。
そして、リーダー自らが常にスピードを意識した動きを取り、
その重要性を繰り返し言い続けると言うことがとても重要だ。
しかしそれでもなかなか思ったように動かないのが
マネジメントの難しい所でもある。
従って、言って動かなければ、
飴と鞭をバランス良く用いて進めていく事も時には必要となる。
「即実行」を賞賛、評価する仕組み、あるいは「実行しない」ことへの罰則だ。
目指すはこんな会議のやり取りだ。
リーダー:「よし、じゃぁこれからはこの方針で頑張っていこう!」
メンバー:「わかりました、まず動いています。動く中で○○といった
ハードルが出てくる可能性がありますので、その場合はまたご相談させて
もらえますでしょうか。」
リーダー:「その時はすぐに報告をしてくれ。」
メンバー:「わかりました、まずは動いてみて状況を逐次ご報告させて頂きます。」
リーダー:「そうだな、それに応じてまた対策は一緒に考えていこう」
(後日)
リーダー:「例の方針について進捗はどうかな?」
メンバー:「先日の方針に沿って動いたところ、
早速興味を持ってくれた見込み客が現れました!」
リーダー:「そうか、それは何よりだね、先日君が心配していた○○について
問題は起こっていないか?」
メンバー:「ええ、なんとか対処出来そうです。動いてみて良かったです!」
リーダー:「わかった、何か私の方で動く必要が有れば言ってくれ。
引き続き頼んだよ」
「即実行」で得られる果実を、まずは体感してみよう。