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コラム


期待値コントロール

真の顧客満足とは、相手の期待値を把握し、その期待値を上回る活動をすることで相手に感動を与え、得られるものである。

 

 

 

お客様の期待値を大きく上回らない活動、

つまり、お客様にとって当たり前のことを

しっかりと行うだけでは、ある程度満足はしてもらえても、

それを超える感動は与えられない。

 

 

 

したがって、お客様の期待値を超えるサービスを行うためには、

まずお客様にとって当たり前の活動がどの水準なのかを

把握する必要がある。

 

 

 

そして、その水準が適性でなければ、こちらからその水準、

つまり期待値のコントロールをしなければならない。

 

 

 

その期待値コントロールは

普段の営業活動においては特に重要だ。

 

 

 

期待値のコントロールがうまくいかないと、

自分としてはお客様のために最大限頑張った行動をしたとしても、

お客様に全く感謝されずに逆にクレームになってしまうことさえある。

 

 

 

 

 

 

 

■期待値コントロールに失敗してクレームになってしまったケース

 

 

 

 

ある営業マンが住宅を販売し、引渡しまでこぎつけた。

 

 

 

 

引渡しをしてからお客様の引越しまで数日あった。

その間に大雨が降った。

その営業マンは大雨の後、現場が気になり見に行った。

 

 

 

 

案の定、カーポートの土間コンクリートは

泥だらけになっている。

営業マンはお客様の為だと思い、

ブラシで土間コンクリートを必死に掃除した。

 

 

 

 

さすがにコンクリートを打った直後のように

きれいには出来なかったが大分見栄えは良くなった。

引越し当日、折角なので顔を出そうと現場に向かった。

 

 

 

 

引越し作業に追われているお客様にこの前の大雨の後、

掃除したことを意気揚々と伝える。

 

 

 

 

「この前の大雨、すごかったですね。しっかり掃除しておきましたよ。」

 

 

 

 

営業マンにとっては特別にしてあげた掃除という活動。

当然、このお客様は喜んでくれるだろうと思っていたし、

「ついでに紹介も依頼出来たら良いな」とも思っていた。

 

 

 

 

しかし、お客様から思いもよらない言葉が返ってくる。

 

 

 

 

「全然きれいになってないじゃない!ちゃんと掃除したの!?」

 

 

 

 

せっかく貴重な営業時間を割いて掃除までしたのに・・・。

営業マンは寂しく会社に戻る。

 

 

 

 

なぜこのような結果になったのか?

 

 

 

 

それは、営業マンがお客様に対して

「期待値コントロール」ができていなかったからである。

 

 

 

 

このケースはお客様が営業マンのとった「掃除」という行動を

当たり前の活動だと思っていたことが原因である。

特別に行ったことが、お客様にとって「特別」になっていなかったのだ。

 

 

 

 

しかもその当然の行動が、お客様の期待している基準に

達していなかったことで、満足度を下げてしまう結果になった。

 

 

 

 

 

ではどうすればよかったのだろうか?

 

 

 

 

 

事前に当たり前の水準として、

土間コンクリートは大雨が降れば当然汚れてしまうこと、

コンクリートを打った直後の質感・色を保つことは

不可能であることをしっかりと伝えておくべきだったのだ。

 

 

 

 

さらに言えば、引き渡し後はお客様ご自身での管理が

基本になることは含ませた上で、

「よろしければ私が代わりに掃除をしておきますね」と

一言声を掛けておくとよかったのだ。

 

 

 

 

同じ行動でも相手の期待値によって結果が変わる。

 

 

 

 

提供するサービスが同じでもお客様の期待値が

適性ではなければ苦労して提供したサービスが

結果として不満につながってしまうことがある。

 

 

 

 

期待値が高すぎる人や、一般的な基準を知らない人には、

期待値をコントロールすることが必要だ。

 

 

 

 

つまり、事前に適切な認識を持つように働きかけてから

自分たちのサービスが適切な評価をうけるよう

アクションを起こすことである。

 

 

 

 

自社で取り組んでいる顧客満足向上の活動は

しっかりとお客様の期待値を超えるものになっているだろうか?

 

 

 

 

その活動はお客様の期待値をコントロールして、

しっかりとお客様に特別感を与え、

満足を得られるための働きかけをしているだろうか?

 

 

 

 

せっかく行う顧客満足のための活動。

 

 

 

 

今一度、自分たちの活動が最大限有効に活かされているか

見直してみてはいかがだろうか。