「住宅営業のコツは、勘と経験と度胸だ!」
略して、KKD営業。
そのため、営業力を高めるには営業現場で実践あるのみ!
というのが昔ながらの住宅営業のスタイルだった。
ただ、このスタイルには問題がある。
それは「人が育ちにくい」ということだ。
センスが良い人は実践経験を通じて営業力を高められるが
世の中にセンスが良い人は多くない。
そのためKKD営業スタイルの会社は、売れる人と売れない人の
バラつきが大きいことが共通点と言える。
では逆に、新人営業が入っても早期に戦力化できる、
もしくは営業マンごとのバラつきが少なく、
一人当たりの営業生産性が高い、
そんな会社はどんな取り組みをしているのか。
それは「営業を科学する」という習慣だ。
KKD型の組織と営業を科学する組織の違いを例を挙げて、
説明したいと思う。
■昔ながらのKKD営業組織のケース
A君は入社して半年が経ったが、まだ1件の契約も上げられていない。
接客件数は、すでに40組を超えている。
単独モデルハウスへの来場客なので、少なくとも2件以上は契約を
上げてほしいと上司のBさんは思っている。
Bさん:「なぜ契約が上がらないんだ?」
A君:「すいません。」
Bさん:「お客様の熱の上げ方が足りないんじゃないか。
もっとお客さんがワクワクするような営業を心掛けないと!」
A君:「はい、頑張ります!」
結局、具体的な改善案が出ないまま、再びA君は営業現場に戻っていく。
■営業を科学する組織のケース
同じく半年経っても1件の契約を上げられていないC君。
しかし、次回アポの取得率は月を追うごとに増えており、
現在動いている商談案件も4件ある。
上司のDさんは、C君の営業活動がどうなっているのかを
数字で「観察」することから始めている。
Dさん:「今月は新規接客からの次回アポが2件とれたね。」
C君:「はい、先月にBさんから言われた『120分面談』を
増やす取り組みを徹底したら、お客様との関係性が深まり、
自然と次回アポが取れました」
Dさん:「『120分面談』が2件で、次回アポも2件だから、
2時間話せたら高い確率で次回アポが取れるということだね。
ぜひ、『120分面談』は意識して取り組んでいこう。
次は動いている商談の「設計依頼件数」を増やす
取り組みをして、提案と契約につなげていきたいところだね。」
C君:「はい。設計依頼件数を増やすための取り組みは、
こんなことを考えていまして・・・・」
前述のA君と半年間だけ見れば同じ成績だが、
恐らく1年後は後者のC君が大きな差をつけて成績を上げているだろう。
■「営業を科学する」ことは「観察」から始まる
後述の組織(C君とDさん)の特徴としては
「観察」⇒「仮説」⇒「検証」⇒「法則化」
という「営業を科学する」習慣をベースに人財育成が
なされていることだ。
今回のケースで説明すると
観察: 120分面談、次回アポ数、設計依頼回数などの営業プロセス指標
仮説: 「120分面談が増えると次回アポ取得が増えるだろう」、
「設計依頼回数が増えると提案や受注が増えるだろう」
検証: 実際に120分面談を増やす取り組みを行い、次回アポを増やしたこと
法則化:次回アポ取得率を高い水準で維持するために、
今後も120分面談につながる取り組みを徹底すること
ほとんどの住宅会社が「営業を科学する」習慣のうち
最初の「観察」でストップすることが多い。
なぜならそれは、営業における適切なプロセス指標をおさえられていないからだ。
注文営業の場合、一般的に以下のような指標をおさえると
適切な「観察」が行いやすい。
① 契約数
② 申込数
③ 見積依頼数
④ 設計依頼数
⑤ 次回アポイント取得数
⑥ 120分面談数
⑦ 60分面談数
⑧ 着座数
⑨ アンケート記名数
まずは上記の指標を1か月間収集してみよう。
そして売れている営業マンと、売れていない営業マンの数値を見比べてみよう。
正しい「観察」こそが、正しい「対策(仮説)」につながる。
売れる営業と売れない営業の違いはプロセスに表れる。
まず「観察」することから、「営業を科学する」ことを始めよう。