Column

コラム


振り返り力

若手の即戦力化に悩まれている方は少なくない。

若手が全然戦力化しない・・

最近の若手は根性がない・・・

若手は成長意欲が低い・・・

 

など、若手メンバーに関する悩みは尽きない。

では、何を変えれば若手は成長できるのだろう。

 

 

■失敗から成長する

 

 

O部長は疑問に思った。

 

A君は日進月歩のスピードで成長しているが、

B君はあまり成長が感じられない。

 

しかし、二人の元々の能力に優劣はない。

最初にミスするタイミングも、ほぼ同じ。

いったい二人の何が違うのだろうか・・・。

 

 

あるとき、二人はお客様に対して、重要な報告を怠るという

ミスをした。

 

B君の上司は、

「お前は自分のしたミスの重大さを分かっているのか!」

と、ミスをしたことをただ叱った。

 

その結果、B君は落ち込み、

ミスをしても言い訳ばかり考えるようになってしまった。

 

 

一方、A君の上司はミスの重大さは伝えたものの、

ただ叱るのではなく

「どうしてその失敗をしたか振り返ってみよう」

と投げかけた。

 

「今後、同じようなミスをしないためにはどうすればよいのか」

を考えさせた。

 

するとA君は、ミスを反省し、失敗の原因と改善点を考え、

同じミスを繰り返さないためのアクションを考えた。

 

さらにA君の上司は、その相談に乗ってあげることで

A君の成長に役立つアドバイスを行った。

 

 

その結果、A君は失敗をしてもただ落ち込むのではなく、

同じ失敗を繰り返さないよう、

原因と改善策を考えることが習慣化された。

 

また、その改善アクションができているかを

自分でチェックするようになった。

 

 

O部長は気が付いた。

A君とB君の決定的な違いは、「振り返り力」にあることに。

 

 

A君とB君の仕事のサイクルの違いはなんだろうか。

 

A君

①  失敗する

②  失敗の原因と改善点を考える

③  次回のアクションを決める

④  それができているかをチェックする

⑤  成功する

 

 

B君

①  失敗する

②  原因や改善点は考えず、ただ落ち込む

③  できない理由(言い訳)を考える

④  とりあえずやる

⑤  また、同じ失敗をする

 

 

最初は誰もが失敗をする。

しかしその失敗を次に生かせるかどうかは、

「振り返り」次第。

 

 

成長を極めてシンプルに定義すると、

「できなかったことができるようになること」だ。

 

つまり成長スピードは、

「できなかったこと(失敗)からいかに深く学び、修正ができるか」

にかかっている。

 

 

米大リーグヤンキースで活躍するイチロー選手は、

試合後のロッカールームで一人黙々と、グローブとスパイクを磨くという。

それは、彼にとって一日の大切な「振り返り」の時間となっている。

 

何が失敗の原因で、何を修正すべきか・・・

昨日の反省点は生かせたか・・・

明日は何を実行するか・・・

 

この時間は、今日の仕事の大切な振り返りの場であり、

その振り返り力が彼を成長させ続けている。

 

 

1日、5分でも10分でもいい。

 

 

今日という日を振り返って、

何を改善すればいいかを考える時間をもとう。

 

その小さな積み重ねが、

「とんでもないレベルへ辿り着くただ一つの道」

であることを自覚しよう。