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海外進出Q&A vol.12 海外現地社員の人事制度

Question.

海外現地社員の人事制度は、どのように構築するべきですか?

Answer.
1) 海外現地社員の人事制度は、「日本からの赴任者の安定化」に対しても重要な意味をもちます。

2)「管理職」や「幹部候補者」から制度を浸透させるため、組織の「上」から整備を進めることが望まれます。


1. 現地社員の人事制度の重要性

前回までは「日本からの海外赴任者」の説明をしてきましたが、実際の海外ビジネスの場では、海外で現地社員を採用して、製造・営業・管理等の業務にあたらせることとなります。
日本人赴任者は、現地社員を統括(マネジメント)する立場となります。
海外でよく耳にする赴任者の悩みには、以下のようなものが挙げられます。

















派遣側の日本企業は、「これは海外の課題だから・・・」と高を括っているわけにはいきません。
なぜなら、これらの課題は、最終的には現地社員のマネジメント役である「赴任者」の肩にのしかかってきます。
その結果、赴任者の疲弊や不満、モラルダウン、ひいては悪いうわさが日本本社に流れることによって後続の赴任者がいなくなり、海外赴任者が固定化(属人化)する、という深刻な状況を引き起こしかねないためです。
現地社員の安定化は、中長期的に海外ビジネスを考える上で不可欠な要素といえます。
そして、現地社員を安定化させるためには、「人事制度」は非常に重要です。
現地社員は、日本人以上に自分の待遇にシビアなケースが多いです。
そのため、「信賞必罰」の体制をしっかりと整備して、有能な意欲の高い現地社員はドンドン上に引き上げていく運用が求められます。



2. 優先順位と導入プロセス

現地社員の人事制度導入に関する基本的な考え方は、「上から制度設計を行っていく」ことです。
日本でも同じですが、管理者の立場に立てばたつほど、能力・意欲の高い社員が多くなります。

そのような社員から先にやる気を高めていくことで、組織内での好循環を醸成することが可能となります。
一般的な導入のプロセスは、以下のとおりです。






























次々回で、海外の人事制度に求められる重要ポイントをご説明します。


3.
(参考)法定退職金について

従業員にとって、「退職金」は老後の生活を考える上で重要な要素であり、この事情は海外でも変わりません。
日本の場合、退職金制度は会社によって様々であり、「ゼロ」という中小企業も多数存在します。
しかし、中国・ASEANにおいては、「法定」の退職金が定められているケースがあります。
その場合、企業は、勤続年数等の一定の基準により計算した退職金を、退職者に支払わなければいけない場合があります。
例えば、中国では「労働契約法」の規定に基づき、企業側から雇用契約を解除等する場合は、原則として勤続年数1年につき月額賃金1ヶ月分の「経済補償金」を支払わなければなりません。
つまり、勤続年数12年の社員であれば、ほぼ年収分の経済補償金を払う必要があります。
これが製造業であれば、従業員数が数百名に達することも多くありますので、金額は膨大となります。
現地社員の給与が上昇すると、国ごとの「法定退職金」が想定外の金額となるケースもあるため、留意が必要です。


注:執筆内容はポイントが分かりやすいように原則的制度を中心にご説明したものであり、例外規定などを網羅するものではありません。

※本記事は、弊社の提携パートナーである、みらいコンサルティンググループによるものです


【みらいコンサルティンググループ会社紹介】
1987年創業。従業員数約200名(海外拠点を含む)。
日本国内に9拠点、海外(中国・ASEAN)5拠点に加え、
ASEANにジャパンデスク9拠点を有する。
公認会計士・税理士・社労士・ビジネスコンサルタントが一体となる
「チームコンサルティング」により、中小中堅企業のビジネス展開を
経営者目線から総合的にサポート。
株式上場支援、働き方改革の推進、組織人材開発、
企業を強くする事業承継やM&A、国際ビジネスサポート等で
多数の支援実績がある。

国際ビジネス支援サービス紹介(みらいコンサルティンググループWEBサイト)

第○条 (定義《例》)

この規定において、海外赴任社員とは、1年以上の期間にわたり、海外の現地法人・支店・営業所・駐在員事務所等に勤務する者または出向することを命ぜられた者をいう。