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コラム


「この会社で働き続けたい」そう思わせる人事評価制度に作りかえる ーvol.1ー

社員の定着率が高く、生産性も高い組織を作るためには
納得度が高く、やる気になれる制度が必要です。


■人財が流動化する時代こそエンゲージメントが重要

社内の人事制度や評価制度を作る際には「社員のエ ンゲージメントが重要」と、よくいわれます。
エンゲージメントは、一般的には婚約や約束を意味する単語ですが、人事分野では会社に対する愛社心や思い入れといった意味を持ちます。
なぜエンゲージメントが重視されるかというと、エンゲージメントが高いほど社員のモチベーションが上がりやすく、やる気を出してくれるからです。
エンゲージメントと企業の経営指標の関係を調べた調査(図1)でも、エンゲージメントが高いチームは、低い チームよりも、収益性、生産性、EPS、顧客満足度が高 く、離職率、事故や品質の欠陥、欠勤が少ないことがわかっています。

経営面から見ると、このような人財を育成できる人事評価制度を構築していくことが重要です。
特に昨今は働き方が多様化し、転職のハードルが下がったことで人財の流動化も進んでいます。
そのような環境の中では、エンゲージメントを高めるこ とによって優秀な人財が流出しないように取り組むこと が重要です。
また、新型コロナウイルスの影響により、住宅業界は 一時的に人不足から充足状態に転じていますが、長い目で見れば人不足の状態は続き、業界内外で優秀な人 財を取り合うことになるでしょう。
コロナ以前の住宅業界は、1人の人財を6社が欲しが る超売り手市場でした。そのような環境でも継続的、安定的に人を確保していくために、社員のエンゲージメントを高められる制度を構築することが求められるのです。

■賃金管理だけでは不十分

エンゲージメントを高めるという視点から見ると、従来の人事評価制度にはいくつかの問題点があります。
既存の制度は、人事評価制度と位置付けられてはい ましたが、単に社員の給料や賞与を決めるための査定 制度として機能してきました。
企業側から見ると、社員に払う給料の額を納得させたり、社員間の給料格差をつけるための制度という意味 合いが強く、人事評価の発揮すべき機能と賃金制度が 連動せずに作成、運営されてきたのです。

このような制度ではエンゲージメントは高まりません。
なぜなら、エンゲージメントは給料などではなく、仕事を任されたり、達成したりすることによって高まっていくものだからです。

仕事の不満足と満足についてまとめたハーズバーグ の二要因理論では、会社の方針、職場環境、対人関係、そして給料などは、仕事の不満感足を生む要因(衛生 要因)と位置付けられています。

つまり、会社と自分の考え方の違いや、環境、関係、給料に対する不満は仕事の不満足を増長しますが、これ らを改善しても満足感は生まれず、エンゲージメントも高まらないということです。

一方、仕事を任されたり、達成したり、会社や顧客から承認されたり、その結果として昇進することなどは、仕事の満足に関わる要因(動機付け要因)で、これらはエンゲージメントを高めることに結びついていきます。

この点を踏まえた上で、人事評価制度を再構築していくことが重要です。
具体的には、企業のビジョン、目標、理念などと連動した制度に変えます。
すると、社員が同じ価値観を持って努力できるようになったり、同じような価値観を持った人財を確保できるようになることで、組織力が高まるのです。

また、評価の部分は、給料額の査定に使うだけではなく、評価を通じ、社員が段階的に能力を高めていけるようにすることも大事です。
その点を意識した上で評価の基準を設けることで、制度を通じて社員が継続的に成長できるようになります。
つまり、評価部分が能力開発のロードマップになるよ うに作成することが重要なのです(図2)。

※本稿は、2020年4月に開催した「地域密着ビルダー成長戦略フォーラム」で登壇した当社コンサルタントの講演内容を編集したものです。

 

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