Column

コラム


オンライン前提のマーケティング&セールス戦略 ーvol.2ー

新型コロナウイルスの影響を受けて、市場を取り巻く環境が大きく変わりました。
何が変わり、どんな影響があり、これから何が求められるのかを考えます。


■家で過ごす時間が増え、家に求める条件が変わったサービスは無償で行うものではない

外出自粛によるもう一つの大きな変化は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な普及です。
DXは、デジタル技術によって生活をより良いものに変革することを指します。Web会議サービスなどがその一例で、電車に乗り、会社に行き、仕事をするといった働き方を根底から覆す力を持っています。

すでに国内では多くの企業で在宅勤務を推奨し、そのための設備も整備が進んでいます。
テレワークなどDXに関連する企業が注目されるようになり、新型コロナウイルスの感染拡大とともに株価が急速に上昇しています。

このような変化に適応していくためには、まず消費者の行動の変化を正確に捉えることが大事です。
契約面では、購買マインドが低下し、外出自粛によって展示場に来る人が減ります。
情報収集の手段として、今まで以上にWebを活用する人が増え、Webの閲覧時間は増加していくでしょう。

Web
マーケティングに力を入れてきた会社では、すでに閲覧時間の増加が確認できているところもあります。
Webを見る機会が増えやすい環境に変わっているにもかかわらず、閲覧時間が横ばいだったり、以前より減っているとすれば、見込み客獲得の施策で競合に遅れを取っている可能性があります。
商談や営業に関しては、すでに述べた通り、所得不安によって購入意欲が低下していることを踏まえる必要があります。

また、外出自粛やテレワークが増えたことにより、住宅に求める価値も変わります。
例えば、テレワークの普及によって日々の通勤が必須でないとわかれば、駅近という条件の優先順位は下がるでしょう。在宅で仕事をするならそのためのスペースが必要になりますので、求められる間取りも変わります。
家の中で快適に過ごすために、ペットと共生できることが求められたり、抗菌や空気のきれいさといった目に見えないものの価値も高まっていくでしょう。

また、家で過ごす時間が増えると、テレビ、ゲーム、映画観賞の時間が増えますし、料理や掃除など家事をする時間も増えます。
そのような暮らしをしてみることで、住宅に求める条件なども変わっていくでしょう。
新型コロナウイルス以前の暮らしを100点として、今の暮らしの点数を聞いたところ、自由度が54.3点に下がったという調査もあります(図3)。

 

このことからわかるのは、今の世の中に存在している家や、これまで求められてきた家が、新型コロナウイルス影響下では不自由であり、合っていないということです。100点が半分に落ち込むくらい、消費者の暮らしが変わり、価値観が変わっているのです。

見込み客と営業スタッフとの接点については、まず打ち合わせが忌避されます。企業側から見ると、見込み客との接点が減るということです。すでに打ち合わせが延期になったケースも見受けられますし、条件や間取りを見直すなどの理由で、家づくりについて考え直したり、そのためにいったん契約が白紙になったケースもあります。

総合展示場の来場者数も、3月時点の来場者組数が前年同月と比べて3割減ったことがわかっています。外出自粛のマインドが広がっていく限り、来場者組数は今後も減っていくでしょう。
展示場との接点が減ることにより、消費者の中で「展示場に行かないといけないのか」「リモートでいいのではないか」といった考えも生まれるようになります。

 

※本稿は、2020年4月に開催した「地域密着ビルダー成長戦略フォーラム」で登壇した当社コンサルタントの講演内容を編集したものです。

 

<PREVIOUS

NEXT>

 

本コラムを紙面でご覧頂きたい方は上記より資料をDLください