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コラム


優秀人財を獲得する採用戦略~人財獲得競争の時代に売上5億円の企業が優秀人財を獲得する方法〜(前編)

■ はじめに ~採用次第で3年後の業績が変わる~

「部門間のコミュニケーションが悪くて、ミス・クレームが減らず、利益が安定しない」
「営業マンによって、受注棟数のばらつきが多く、売上が伸びない」
「会議が長い割には何も決まらない、あるいは、決めても実行せず、ここ数年同じ課題が残っている」

このような悩みを抱えている経営者の方も少なくないのではないでしょうか?私がお会いする住宅・不動産会社の経営者の皆様からも、頻繁にこのようなご相談をお受けします。その際に、経営者の皆様から

「ミス・クレームを減らすために、ルール・マニュアルを整備してほしい」
「受注棟数のばらつきをなくしたいから、営業の仕組み化を手伝ってよ」
「全社の生産性を高めるために、仕事の仕方・考え方を教えてほしいんだけど」

と、「仕組みづくり」「人財育成」などのご支援のご要望を合わせていただくことが多いのですが、深く話を聞かせていただくと、『採用段階』での問題であることも少なくありません。

業績は、大きく事業戦略(やること)と組織・人財戦略(やる力)の二つで決まります。どれだけ素晴らしい戦略を描いても、やる力がなければ業績は出ませんし、逆に、どれだけ素晴らしい人を集めても、やることが不明確では業績につながりません。競争環境が激化する中で、「商品戦略」「集客戦略」「販売戦略」などの、『やること』が明確になっている企業様は増えてきました。

一方で、『やる力』が不足しているため、やりきれない!という企業様がいらっしゃるように感じます。組織・人材戦略(やる力)の強化をする場合、ⅰ採用・ⅱ人財育成・ⅲ配置・ⅳ評価・ⅴ活性化と大きく五つのパートに分かれますが、前半ほど、業績に大きなインパクトを与えます。 どんなに人財育成の仕組みを整えても、採用段階で自社の求める人財像とギャップが大きければ、やる力を伸ばすことはできないのです。

2019年10月の消費税増税後は、住宅新築着工棟数が大きく落ち込み、存続し伸ばし続ける企業と、倒産・廃業に追い込まれる企業に二極化することが予想されます。市場環境が激変するタイミングで、事業戦略(やること)の見直しは短期的に行うことが可能ですが、組織・人財戦略(やる力)の見直しには人が関わっている以上、中長期的な取り組みが必要です。

今、組織・人財戦略(やる力)の見直しに取り組み、最少人数で最大の業績を出せる組織を構築した企業こそ、201910月の消費税増税後に勝ち残る企業となるでしょう。

「そんなこと言っても、うちは小さいから良い人財を採用するなんて無理だよ」と思った経営者様に向けて、本コラムを執筆させていただきました。

消費税増税までに残された準備期間に、自社で取り組むことの優先順位づけの一助となれば幸いです。

■ 採用戦略の重要性

採用の成否は計画段階で決まる

新卒・中途採用にかかわらず、経営者の皆様であれば過去何人もの人を面接・採用してきたと思います。振り返ってみると、「採用していてよかった!」という社員もいれば、「残念ながら失敗だった。」という経験もあるでしょう。

採用をするタイミングとして、大きく二つのケースが考えられます。

  • 欠員が出るたびに、急遽採用をしているケース
  • 今後の経営計画に基づいた組織計画があり、新入社員の成長スピードから逆算した採用をしているケース

①の場合、欠員による人手不足を早期に解消する必要性から採用(見極め)期間が短くなってしまいます。その結果、少ない応募者から採用をすることになり、自社に合った人財を採用できず、採用が失敗する確率が高まるのです。

現在、業績を伸ばしている企業様は、一様に②のような組織計画・採用計画を持っています。また、その計画を基に経営者自ら採用活動を行っています。結果、計画的な採用活動につながり、優秀な人財の採用が可能となり、実行力の高い組織づくりに成功しているのです。

住宅営業と採用活動は同様である

住宅・不動産事業に関わっている皆様であれば、年初に契約棟数の計画を立てた上で、昨年度実績を参考に集客からの契約歩留まりを計算し、年間の目標集客数のプロセス目標を立てていらっしゃることでしょう。

また、そのために必要な施策として、ブランディング・マーケティング・営業・契約それぞれの方針を打ち出し、具体的な行動計画も立てていらっしゃるのではないでしょうか。

採用活動においても、活動前に採用人数の計画を立てた上で、内定・内定承諾・面接参加・説明会参加のプロセス目標を設定します。自社で採用したい人財像が一般的に採用市場で人気(高学歴等)なのであれば、プロセス目標も厳しめに設定する必要がありますし、より営業・契約の施策に力を入れる必要があるかもしれません。

また、自社で採用したい人財像が希少(建築系学科卒かつコミュニケーション能力が非常に高いなど)で採用市場に人数が少ないのであればマーケティングに力を入れて、住宅営業同様に紹介・口コミでネットワークを作る必要があるかもしれません。

自社のターゲットに合わせて、ブランディング・マーケティング・営業・契約をするなど、住宅営業と全く同じ準備が必要になるのです。

離職率低下につながる

住宅営業と採用活動が大きく異なる点は、住宅営業の場合は今期の契約が数ヵ月後の売上に直結しますが、採用活動では、今期の採用が業績に表れるのが、採用した社員が一人前になる数年後という点です。そのため、「短期的に業績につながりにくい採用に時間・資金コストをかけたくない」と考える経営者様もいらっしゃいます。

ただし、ここで考えなければいけないことは、採用にコストをかけることによる離職率低下の作用です。

「ある日突然、トップ営業が辞めてしまい、売上がガタ落ちした」
「まとめて何人も辞めてしまい、残された社員のモチベーションが下がってしまった」
「社員が引き継ぎをせずに辞めてしまったため、お客様に迷惑をかけた」

中小企業の経営者の皆様なら、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。上記を個人、組織風土の問題ととらえる経営者様もいらっしゃいますが、本質的には採用段階の失敗が原因です。実際に、われわれが採用支援をさせていただいている会社では、下記のような正のスパイラルが回っています。

採用に力を入れることは、

①既存社員の実行力を高める
②離職リスクを抑える

の二つの点で、短期的にも業績に直結するのです。ここからは、実際に採用で成功している企業がどのように採用活動をしているのか、新卒採用を例に見ていきましょう。

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