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コラム


中長期管理客の追客・育客のポイント(前編)

■ はじめに

全国の多くの住宅会社様で集客が激減しています。今まで集客媒体として大部分を占めていた「展示場」「完成見学会」からの集客だけでは十分な集客数を確保することが難しくなったことから、新たな集客施策を模索している企業様も少なくありません。

また、イベントやセミナーなどの新たな集客施策で『集客数』は確保できていたとしても、その手法は過去の営業の勝ちパターンであった「展示場」「完成見学会」営業と異なることから、受注につながらないというケースが多く見受けられます。

その結果、社内に「中長期管理客」のリストが溜まるものの、有効なアプローチ策がわからないという企業様のお声を頂戴することが増えてまいりました。

「中長期管理客」をどのように見込み客化し、受注につなげていくかをテーマに最新の取り組み事例を交えてお伝えいたします。

〜熱の低いお客様を受注につなげることは可能なのか?〜

「そもそも、資料請求やイベントなど、熱の低いお客様を集めている時点で受注は難しいのではないか?」とお考えの経営者様もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、全国の優秀企業様の中には実際に以下のような成果を上げている企業様もいらっしゃいます。

◎ 毎月1度のイベントを実施し、熱の低いお客様が多いと思われているイベント参加者からの受注歩留まり10%を達成しているA
◎ 会うことが難しいと言われているホームページの資料請求から、来店誘致率50%を達成しているB社
◎ 熱の低いお客様をセミナーに誘致し、セミナー参加からの受注歩留まり30%を達成しているC社

確かに、熱の低いお客様を集めると、今まで通りの営業活動では受注が難しいのは事実です。

上記のように熱の低いお客様を受注につなげている企業様は、共通して熱上げの仕組みを持っています。具体的な取り組みを検証する前に、「なぜ、現在のお客様の熱は低いのか」「なぜ、中長期客は増えてしまうのか」を見てみましょう。

■ 中長期客が増えてしまう背景

①一次取得者の世代交代

一次取得者の中心がここ数年間で、「団塊ジュニア世代」から、「ポスト団塊ジュニア世代」及び「ゆとり世代」へと変化してきています。

「ポスト団塊ジュニア世代」以降の消費観を表すキーワードとして、『嫌消費』という言葉が有名になりました。

バブル時代の日本経済を享受することなく育ち、社会人になって以降不況の中で常に危機感を持って生きてきたポスト団塊ジュニア以降の世代は、過去の日本人が持っていた、「●●歳になったら家を買うべき」「家を持ったら一人前」という感覚は持ち合わせておらず、失業や給与低下の不安から、出費を控える方が得策という感覚を持っているのです。

そのため、車や高級腕時計の購入など数百万円単位の購入の意思決定をした経験がある人の割合も減っています。このような背景から、数千万円する住宅購入の意思決定をすることに対する抵抗感が強まっています。

②選択肢の多様化 ~より豊かで、幸せな人生を生きるための住宅~

一昔前までは、中古住宅をリノベーションするなどという考え方はありませんでしたが、現在ではリノベーション住宅が「安くてオシャレ」という考え方と共に若者世代を中心に受け入れられるようになりました。また、地方でも市場価値の落ちづらいマンション購入者が増えています。

はじめから「持家を建てる」ことにこだわる人は減少傾向にあり、あくまでも「より豊かで、幸せな人生を送るため」の選択肢の一つとして「持家」があるとの価値観が広がっています。さらに、賃貸暮らしで一生過ごしても良いという価値観も浸透しつつあり、今の一次所得者は「住宅をいつ買うか?」ではなく「そもそも住宅を買うかどうか?」で悩まれているのです。

■ 中長期客掘り起こしのよくある失敗

上記のような理由で増える一方の中長期客をどうにか見込み客につなげようと各社取り組んでいますが、成功している企業様は多くないようです。

では、典型的な失敗パターンを見てみましょう。

典型的な失敗事例ケース① 〜イベント集客パターン〜
「全社員総出でお祭りイベントを開催し、人は集まり、満足をしていただけたが、次アポが取れなかった」

地域密着の企業様などでは、お祭りやコミュニティの運営をしている企業様も少なくないですが、かかる労力の割に成果が少ない企業様が大半のようです。

このケースは、お客様の購買熱に合わせた集客媒体が用意できていないことから起こっている場合が大半です。

「お祭りイベント」に集まるお客様は、熱の低いお客様であるにもかかわらず、そのようなお客様に対して購買意欲を高めるような仕掛けを用意することができておらず、その後、完成見学会のDMを送り続けていても、熱感のギャップが大きく、来場や商談へのステップアップが難しくなってしまいます。

その結果、せっかく一度接点を持ったお客様と会うことができず、中長期客というただのリスト化してしまうのです。

典型的な失敗事例ケース② 〜セミナー追客パターン〜
「セミナーを開催し、人も集まるし、満足度も高いはずなのに、次のセミナーや具体的な相談の次アポが取れなかった」

お客様が興味を持ちやすい、「収納」「相続」「資金」などのテーマでのセミナーを企画し、整理収納アドバイザーや税理士、フィナンシャルプランナーなど外部講師を招いている企業様もよく見受けられます。外部講師を招くと集客効果があり、満足度も非常に高い傾向がありますが、一方で、セミナー内容を外部講師の方に任せきりで、住宅購入への出口設計が不足しており、商談につながらない状況がよく見受けられます。

このケースは、ランクアップをさせる仕掛け、次アポを取る「仕掛け」が整っていないことから起こっている場合が大半です。せっかく、時間とお金をかけてセミナーを開催したとしても、セミナー参加者は「今日はいい話を聞かせてもらったなぁ」「詳しくは、講師の先生に相談してみよう!」と住宅購入を検討してもらえず、自社の収益に直結しない活動となってしまっているのです。

ここでは代表的な失敗事例を2つ取り上げさせていただきましたが、皆様はこのような失敗をしていらっしゃらないでしょうか?

「熱の低いお客様を相手にするのは、準備に多くの時間がかかる割に、成果が出ない」と社員に反発を受けてしまっている企業様も見受けられますが、今後の厳しい市場環境を考えると、中長期客の掘り起こしは不可欠ではないでしょうか?次ページでは、中長期客の掘り起こしに成功している企業様の事例を見ていきましょう。

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