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企画住宅販売の成功ポイント~成功している企業は何が違うのか~(前編)

■ はじめに

縮小することが確実な新築住宅市場において、どのような戦略を取るべきか、頭を悩ませている経営者様も多くいらっしゃるのではないかと存じます。そこで、本コラムにおいては、この数年各県で確実に成長しており、勝ち残るための戦略の一つとなっている、「企画プラン住宅」の販売戦略をご紹介させて頂きます。

■ 企画プラン住宅の成功企業事例

そもそも企画プラン住宅と言いますと、さまざま定義はありますが、本コラムにおいては、一定以上間取りや仕様を固定化することで、大量仕入れや販売・生産の効率化によって低価格で質の高い商品を提供できるようにした住宅を指すこととします。

お客様の購買力が低下する一方で、今、この企画プラン住宅の価値が見直され、力を入れる企業様が全国的に急増をしています。以下ではまず、企画プラン住宅を取り入れて成功している企業の事例をご紹介いたします。

- 事例① A社 -
【棟数】
200棟/年    【建物価格】 1,450万円(平均)
【特徴】 ここ数年で急成長、県内NO1となったビルダー。
キューブ型、 2×4工法、スケルトンインフィルを特徴としたローコスト企画住宅を展開している。


A社では、土地、予算確定後に建物のサイズ選択から順番に、屋根、窓、外観、内観、間仕切り、オプションを決めていく流れが標準化されており、新卒1年目であっても間取り、仕様打合せがすぐにできる体制を作っています。打ち合わせを効率的にできる分、デザイン性が良く質の高い住宅を安価で提供することができるため、顧客に支持されています。

なお、この企画プラン住宅が売れている理由の一つとして、A社の不動産仲介店舗が起点となっているという点があります。A社では、賃貸、中古住宅を探しに来たお客様にも、物件案内時に必ず新築の現場にも立ち寄り、商品の説明を実施しているのです。

新築住宅を中古住宅の購入価格や賃貸住宅の家賃とそれほど変わらない価格で購入できるため、賃貸客であっても、1割程度のお客様が、新築を購入しています。また、すぐに新築購入に至らなかったとしても、賃貸に住んでいるお客様を中長期的にフォローし、いざ新築を建てる際には、自社の新築を購入頂く、という顧客の囲い込みモデルができているのです。

企画プラン住宅というと、どうしても抵抗のあるお客様が多い中で、A社では20代~30代の潜在需要客がメインターゲットであるため、自由設計志向の方はあまりおらず、決められたものの中から簡単に選択できて楽、という商品コンセプトに魅力を感じて頂いていることが成功の要因と言えるでしょう。

- 事例② B社 -
【棟数】 120棟/年  【建物価格】 1,500万円(平均)
【特徴】 シンプルでデザイン性の高い企画商品を導入し、3年前は30棟規模であったところから急成長して、100棟超の体制を実現している。


B社は、A社と同じようなシンプルでデザイン性の高い商品を扱っておりますが、A社とは少し違った集客形態をとっています。B社の集客のメインは、ポスティング。自社オリジナルで開発している6枚綴りの手紙風DMを配布することで、全体の8割の集客を賄っています。家賃並みでローンが立つということや、他社でローンが通らなかった場合でも、自社であれば建築可能、さらにデザイン性の高い住宅を手に入れることができると訴求することで、ポスティングチラシ500件につき1件の反響を得ています。

そのため、社員は必ず毎週木曜日に500件のポスティングを実施。ターゲットを絞っているため2時間程度の時間をかけています。ここから約1件の反響が出て、後は店舗に来店頂いたり、訪問して商談をすることで契約につなげているのです。

- 事例③ C社 -
【棟数】
110棟/年    【建物価格】 1,700万円(平均)
【特徴】 お祭り系イベントや見学会で集客したお客様に、1,500万円の企画住宅を入り口商品として気に入って頂いた上で、一部、自由設計商品へも落とし込んでいる。


基本プランを選び、そこから間取りを変更しても追加料金が簡単に計算できるという分かりやすさが売りである企画プラン商品を展開。新規集客分譲地や完成見学会のチラシの他に、地域密着型世帯をメインに狙った戦略で、急成長をしています。

C社もA社やB社と同様、自由設計にそれほど志向性のない、若年層や潜在需要客を集めるために、イベント集客を武器としていることが特徴的であると言えます。

- 事例④ D社 -
【棟数】
350棟/年    【建物価格】 3,000万円(平均)
【特徴】 建て替え層向け3,000万円超を中心とした商品に加え、1次取得者層向けの企画プランを導入。ハイコストでは市場シェアの限界を迎えたことから、ミドルコストでの受注拡大に成功している。


建て替え層をメインターゲットに、耐震性において県内で圧倒的なブランド力を持つD社。「家を建てるならD社!」という熱狂的なファンも多いのですが、自由設計で建築するには3,000万円以上の費用が掛かってしまうため、資金的に厳しいお客様も一定数存在していました。

資金的に厳しいお客様に向けては、値引き対応などもしていましたが、それでも限界はあります。特に、新たに展開を始めたエリアでは、一次取得層がメインとなるため、受注が厳しい状況にありました。そこで、企画プラン住宅を導入し、資金的に難しいお客様であっても、お申込み頂ける体制を構築したのです。

以上ご覧頂いたように企画プラン住宅を導入して成功している企業様は、全国的にも非常に増えてきています。ただし、ここで注意頂きたいことが一点。当たり前のことではありますが、企画プラン住宅は、単純に商品を導入しただけでは成功しません。これまで自由設計住宅を展開していた企業様からすると、企画プラン住宅の販売において一番のハードルとなるのは、間取りや仕様が固定化されるということです。

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