■ 感動紹介を実現するための4つのステップ
感動紹介のもう一つの落とし穴
ここまでをやっていこうとすると、営業一個人の動きだけではなかなかうまく行きません。設計・工務・総務・アフターまで含めて全社員が協力しながら活動できる体制を作ることが大切です。
ただ、全社で紹介活動に取り組む際、もうひとつ大きな問題が出てきます。
お客様に感動して頂いたり紹介頂ける仕組みを作っていくと、そのこと自体が業務になってしまい、探客など各自の本来の活動に時間がとれなくなってしまうという、活動の生産性に関する問題です。
例えば、完成披露パーティも、やるとすれば土日なので、それに1日時間を使ってしまうと、新たなお客様との打ち合わせもできなくなってしまうのです。
感動紹介というテーマに取り組む企業も多いですが、1組、2組程度であれば頑張れば他の仕事も上手く回していけるかもしれません。しかし、全てのお客様に向けて取り組もうとするとそのための業務工数が肥大し、その一方で数値上の業務が立ち行かなくなる可能性があります。ですので、むやみに取り組むことはせず、全社の生産性を考慮した上で取り組んでいくことが大事なのです。
以上を踏まえ、感動紹介を実現するためには、以下の手順で取り組むことが大切となります。
①生産性高く感動頂くための業務フロー設計
②紹介・口コミを頂くための業務フロー設計
③全社員への紹介営業手法教育
④紹介営業に求められる顧客情報の管理体制整備
①生産性高く感動頂くための業務フロー設計
最初のステップは、生産性高く感動頂くために、既存の業務を生産性高く回せる仕組み(業務フロー)を作ることです。
例えば「完全自由設計」という名のもとに間取り打ち合わせを8~10回もやっていたり、仕様も「なんでも選べます」という形で仕様打ち合わせが同様に延びてしまったり…。こういった体制の場合、通常業務だけで精一杯となってしまうため、中々プラスアルファで紹介活動に取り組む時間が割けません。
他にも、工務スタッフの生産性を考えてみると、例えば、工務が1棟の家を建てるために現場に行く回数は何回程度で設定されていますでしょうか。
見るべきポイントを絞っていけば、15~20回に収めることができるのですが、多くの会社では、不安になると現場に行って解決しようとする方が多い傾向にあるので、結果的に40回も50回も現場に行っているというところも少なくないかと思います。
注文住宅事業の場合、工務の工数を最も圧迫するのは移動時間ですから、いかにして現場訪問回数を減らすかが重要になってきます。
このように、営業から工事工程まで、既存業務が生産性高く回る業務フローを整えることが、まずは前提となります。(図4参照)
②紹介・口コミを頂くための業務フロー設計
①において標準の業務フローを整備できたら、次のステップは紹介・口コミを頂くためのアクションプランを業務フローとして設計することです。
まずは営業において、初回接客時に紹介の意識付けをお客様にするために「本日は何方様からの紹介ですか、チラシなどを見られてのご来場ですか」「実は弊社は紹介でお越しいただく方が多いので、こういった確認を最初にさせて頂いているんです」という声がけするステップから始まり、工事工程においては上棟時、竣工時の近隣挨拶で、ポイントを決めてご挨拶ツールを持って回ったり、満足度を高め、攻めの紹介営業を行っていくという仕組みを一つ一つ設定していくことが大切となります。(図5参照)
③全社員への紹介営業手法教育
3つめのステップは、①②を実現するための全社員への紹介営業手法教育です。営業だけでなく設計・工務・総務・アフター・その他スタッフでも紹介の手法を修得することはもちろんのこと、より実践上で求められるスキルとして、お客様の不安心理を解除するようなトークであったり、紹介候補者が出た場合のニーズ別の橋渡し依頼の手法であったりと、紹介営業には外せないポイントをしっかり教育していく必要があります。
④紹介営業に求められる顧客情報の管理体制整備
さらに全社員で紹介活動をしていくと、1人のお客様に向けても色々な方が紹介依頼をすることになるため、顧客情報管理が4つめのステップとして必要となります。
お客様の特性や満足頂いているポイント、周囲にどのような人脈があるかなどを把握して全社で管理できるようにしていくことが大切となるのです。
データ管理ができていくと、アフターで親戚の方が家を建築するくらいの年になった時に、アフター担当が狙って紹介依頼をすることも可能になります。紹介営業を行うための顧客データのストック、これは会社の財産となっていくのです。
■ まとめ
これまで感動頂く手法、紹介を頂く手法、紹介活動を行うにあたり生産性を高めていく手法をお伝えさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
上記の事例は限られた紙面内でしたので、一部しかお伝えしきれていませんが、これからの景気低迷下で全社員で戦う体制を作り、受注減を跳ね返していく際の一助になれば幸いです。
また、今回コラムの内容をより深めた形でお伝えするために、弊社では「紹介営業」のセミナーや紹介契約を増やせる余地がどの位あるかの診断を実施しています。
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