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住宅版「持たざる経営」の極意 ~「営業無し」「チラシ無し」「モデルハウス無し」で 急成長を実現する会社とは〜(後編)

■住宅業界におけるベンチマーク

ハーバーハウスは、この営業マンの存在自体を見直し、営業マンが居なくても販売が出来る仕組みを構築しました。

● 創業7年で142棟完工、180棟契約(完全自由設計)
● 営業マン無し
● 折り込みチラシ無し
● 自社土地無し
● モデルハウス無し

というように、ハーバーハウスの特徴を見ていくと、従来の住宅会社とはまったく異なるモデルになっています。

新潟市は、タマホームに価格勝負が出来る「良質住宅」を全国に展開しているイシカワグループ、企画住宅「パパまる」を展開している北都ハウス工業など有力なビルダーがいくつもあり、全国でも厳しい市場となっています。その中で、ハーバーハウスはいかにして営業マン無しで棟数を急激に伸ばしてきたのでしょうか?

まず、ハーバーハウスは営業マンの仕事を下の図のように分解して割り振っています。

理論的には、上記のように機能の役割分担を変更するのは理解出来ます。しかし、皆様の会社で明日から営業が居なくなったと考えて見て下さい。何が困るでしょうか?

まず、考えられるのは追客・クロージングが弱くなる事です。お客様の最後の気持ちの一押しをしたり、自社の事がまだよく分からないお客様の気持ちに入っていって商談を進めたりという機能は営業マンが担当すべき重要な事のはずです。

これに関して、ハーバーハウスは

①営業マンが説明しなくても分かりやすい商品を提示する
②「全棟」完成現場見学会をやる事でお客様を追客する
③競合との違いを明確にして自社を選択頂ける状態を構築する

といった取り組みを進めています。

①営業マンが説明しなくても分かりやすい商品を提示する

これはリブセンスやライフネット生命にも共通する所ですが、お客様に分かりやすい価格を提示し、お客様が自社で購入する理由をホームページだけで分かる状態にしています。

②「全棟」完成現場見学会をやる事でお客様を追客する

分かりやすい商品であれば、営業マンでなくとも伝えられる為、ハーバーハウスでは全棟で完成現場見学会を実施出来ています。営業マンが接客しなければならないとなると、土日はお客様との面談が入る営業マンのスケジュール上、全棟完成現場見学会は難しくなります。接客しているのは、総務社員や現場監督など、土日スケジュールの都合がつく社員です。お客様は、自分が気に入った自由設計のデザイン住宅を平均すると3.3回見学をされると、設計相談を希望され、契約していきます。

③競合との違いを明確にして自社を選択頂ける状態を構築する

営業組織やモデルハウスがない事で、他社よりリーズナブルな価格での住宅提供や、お客様にとって最適な住宅の建て方を提案する事で、自然に自社を選んでもらえる体制を作っています。

■ 一般仲介土地を用いた効果的な販売方法

営業の機能が無くなる事で追客、クロージングの次に問題になるとすると土地の提案が弱くなる事が困る内容として考えられます。お客様に自社の建物のファンになって頂いた後に、お客様が土地を妥協出来るように進められる営業マンがトップセールスとなっているケースが多いのも、土地付けの営業の重要性を示唆しています。

土地付け営業の難しい所は土地情報紹介→検討→(繰り返し)→決定という流れで、土地にこだわりがあると時間がかかってしまう事です。この時間を短縮する上で、営業マンの役割が大切になります。

ハーバーハウスは、土地の仕入はしておらず、扱っているのは仲介土地です。しかし、土地無し客の平均リードタイムが1.5ヶ月~2ヶ月という非常に早いスピードでお客様に決めて頂けています。営業マンがいないのに、何故、そういった事が実現出来ているのかというと、ハーバーハウスが保有している不動産ポータルサイトに秘密があります。

通常の住宅のホームページでは、自社分譲地情報など限られた情報だけが掲載されています。ハーバーハウスの土地情報の提供の仕方は幅広く土地情報を載せ、また、その一つ一つの土地に建物プランを載せます。

例えば、「一般仲介土地(600万)に建物(コミコミ価格1,600万)を乗せて、合計2,200万です」という形でホームページに掲載しています。こうする事で、お客様が良い土地とプランを、ホームページ上で選ぶ事が出来る状態を作っているのです。

そうする事で、その土地を探しているお客様に、ピンポイントで情報が提供出来ます。具体的には、一般仲介土地が良く、家も不満な点がなければ良いというお客様が来場されるのです。

建物を確認したいと思ったら、現場見学会が毎週開催されているので、すぐにイメージを掴む事が出来ます。

その結果、お客様がほぼ土地と建物プランのイメージが固まった上で来場し、短期間での意思決定が可能になるのです。ハーバーハウスはこのようにして、土地と建物を結びつけているので、営業がいなくてもクロージングまで持っていく事が出来ているのです。結果として、不動産ポータルサイトの会員登録からの来場率45%、会員登録からの契約率17%と驚異的な数字を実現させています。

■ 本レポートのまとめ

私達は、縮小市場の中で多拠点展開を行いつつ、エリアシェアを20%~30%獲得していく為の、王道の戦略があると考えています。それは、「土地集客」×「建物集客」です。

「土地」だけでは魅力がない土地は売れませんし、土地の仕入が出来ないと売上が落ちます。また、事業が大きくなると、必要な資金も大きくなります。「建物」だけでは、お客様が意思決定する上で、気に入った土地が見つかるまで時間がかかります。また、注文住宅の場合は、プラン上での説明になるので、お客様がイメージするのが難しく、意思決定にも時間がかかります。

ハーバーハウスの場合は、「一般仲介土地でも売れる体制(土地集客)」×「説明しなくても売れる住宅(建物集客)」の組み合わせで、この条件を満たしていると言えます。前期140棟完工ですが、来年は200棟完工が見えています。今後もエリアシェアは益々高まっていくでしょう。

下の図は、ハーバーハウスのビジネスモデルをまとめたものです。  

従来の住宅会社では一般的だった「営業マン」「モデルハウス」「チラシ」を捨て、自らの強みに特化する事で「高生産性組織」「全棟完成現場見学会」「蓄積型の集客構造」などの他社にまね出来ないモデルを実現しているのがハーバーハウスの「コア・コンピタンス型」モデルです。      

今後の縮小市場の中では集客構造を増やして、事業を安定させ、組織の生産性を高めていく事が必要です。飯田グループの躍進、第2、第3のタマホームが全国に拠点を展開させている中で、自社の経営体制を早期に盤石なものにする事が必要です。その為に、大いに参考にして頂ける取り組みではと考えています。

 

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