前回はベトナムの市場についてお伝えしました。今回は、ベトナムに実際に進出している企業の事例をお伝えいたします。
1.設計外注拠点として注目
過去には、中国、フィリピンなどが設計外注の拠点として注目されていましたが、政治不安や人件費の上昇などからベトナムに拠点を移す企業も増えています。
現在では、大和ハウス工業、桧家住宅グループなどの大手から、中小規模のビルダーまで複数の住宅会社がベトナムに拠点を構えています。
ベトナムは、大学進学率60%であり、国策でIT教育を強化していることもあって、優秀な人財が増えています。
このような人財が月給300ドル〜600ドル程度と比較的安価な人件費で雇用できるため、コストダウンを狙ったオフショア拠点として人気が出ているのです。
ただし、日本語ができる人財は希少価値が高く、日本語が流暢なマネジメント人財の給与は1500ドル以上になるケースもあり、想定よりもコストダウンができないという声も聞こえます。
国の平均離職率が20%と社員の定着が難しいことも各社共通の課題です。
2. 不動産管理をきっかけに 住宅建築にも進出
オカムラホームは、千葉で分譲住宅を安定的に年間50棟と不動産管理をしている会社です。
2012年に現地デベロッパーのNAM LONG D.C社との合弁でOKAMURA TOKYOを設立し、日本流のきめ細かな不動産・ビル管理ノウハウを強みに管理物件を増やしています。
東京急行電鉄がベトナム・ビンズン省で1000億円以上をかけて実施している不動産開発プロジェクト「東急ビンズンガーデンシティ」内にあるタワーマンション「ソラ・ガーデンズ」の管理など、大型の管理物件も増やしています。
また、2015年4月には、ビンズン省VSIP2工業団地で分譲住宅のプロジェクトもスタート(写真1)。
WPCパネル工法(壁式プレキャストコンクリート)を使用し、コストを抑えながら日本流の高品質住宅の供給にチャレンジしています。
3. 販売価格1億円超の物件で 高所得者を狙う
フジケングループは、愛知県岡崎市を中心に、「分譲マンション」「分譲住宅」「注文住宅」「健康増進事業」「ホテル事業」「介護福祉事業」などを展開しています。
当時の社長(現会長)がベトナムを訪れた際に「自身が起業した時の日本に雰囲気が似ており、大きな可能性を感じる」と2012年にベトナム進出。
約3年かけて現地調査を行い、パートナー候補企業との面談を重ねた上で、2015年2月にベトナム大手デベロッパーHIMLAM社と合弁会社を設立。
ハノイ郊外において、現地の富裕層向けに販売価格1億円の分譲住宅を供給しています(写真2)。
「地震がなく耐震性の基準が低い一般のベトナムの住宅より高い耐久性」「寒暖差の激しいハノイにおいて結露が発生しないような断熱性能」などの点を差別化要素としながら、オーバースペックで販売価格が高くなり過ぎないよう工夫をしています。
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ベトナムは、ASEAN主要国の中でマレーシアと並び外国法人が独立資本で法人設立ができる国の一つであり、進出を検討しているビルダーが最も多い国の一つです。
※「新建ハウジング」弊社コンサルタント寄稿記事より転載
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