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海外進出コラムvol.3 タイ進出日本企業の動向

前回はタイの市場についてお伝えしましたが、今回は、タイに実際に進出している
企業の事例を紹介します。

 

 

1. セキスイハイムは4割紹介受注


積水化学工業(セキスイハイム)は、2009年にSCGM社と住宅生産・販売の
合弁会社を設立し、2013年に海外では初の新工場を竣工しました。
タイに進出している日本企業のトップランナーといえる存在です。
パートナーであるタイ最大のコングロマリットサイアムグループSCGM社の
高いブランド力を生かしながら富裕層を攻略しています。
タイでは唯一の工場生産の住宅であることをテレビCMなどでアピールし
(写真1)、工場見学に誘致する営業フローが現地でも話題となりました。
販売後も、日本流のきめ細さで話題を呼んだアフターフォローにより、
現在では約4割が紹介による受注となっています。
2016年実績で250棟契約、2018年には500棟契約を見込み、順調に業績を
伸ばしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 日本資本求める現地企業

タイに進出する際には、タイの法律上独立資本での進出はできないため、
タイ企業のパートナーを探すことが必須になりますが、タイのデベロッパーでも、
日本企業との共同事業を望んでいる企業が増えています。
タイ企業が日本企業に望んでいることの一つは「資金力」ですが、それ以外にも
「日本流の施工品質」「設計力」が望まれています。
信和グループは2016年8月にタイのデベロッパーW Propertyとの合弁会社を
設立し、事業をスタートしました。現在、バンコクのトンローにて12億バーツ超の
事業規模でルネス・トンロー5というプロジェクトを進めています(写真2)。
8階建て156ユニット、販売価格490万バーツ〜の分譲マンションで、
共有スペースには日本庭園、日本の温泉など日本独自の施設が
設置される予定です。
現在建設中ですが、「日本流の機能・ライフスタイル」「大阪出身のマンション」
などを押し出してマーケティング展開をしており、3月に行われたプリセールスで
7割販売となっているように、売れ行き好調のようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. 飲食業が内装業で進出

国内で50店舗以上の飲食店舗を展開しているシンクリエイトワークスは、
2013年にバンコクに進出し、内装業をしています。バンコクで自社の飲食店舗
の内装見積もりが高かったことが、内装業での進出のきっかけとなりました。
現在は、店舗内装と住居内装を手がけています。タイでは、新築マンションが
スケルトンで引き渡されることがあり、内装リフォームに大きなニーズがあります。
また、富裕層や欧米人などに日本品質、日本風内装が好まれており、十分な市場が
あるようです。店舗内装の場合は、品質とともに納期厳守であることも高い満足度に
つながっています。ローカルの業者は納期の意識が低く、完成が数カ月もずれ
込んでしまうこともあり、店舗の開店が遅れることによる損失発生リスクを考えると、
多少コストが高くても、安心できる日本企業へのニーズがあるということです。
今後はタイを基盤に、近隣国への展開も検討されているようです。

 

4. 日本人顧客向けサービス

サイアムコトブキは、1993年に神戸の「お菓子のコトブキ」から不動産事業を
引き継ぐ形で独立し、日本人顧客向けのアパート、コンドミニアム、サービス
アパートの紹介、およびオフィス・工場賃貸の仲介などをしています。
バンコクにおける仲介会社数は、20年前の21社から55社と倍増していますが、
老舗仲介会社の一つとなっています。タイは日本人駐在員が多く、ローカル駐在
会社では難しい日本人駐在員向けのきめ細やかなサポートのニーズがあります。
また最近では、事業費総額4億9000万バーツ、総販売戸数160 戸という現地人
向け大型戸建住宅の開発分譲事業にも参画しています。

◇     ◇    ◇ 

ここまで、タイに進出している日本企業の事例をお伝えしてきました。
地場ビルダーの海外進出が加速しているのはここ最近の話ですが、以前から海外
に進出し、一定の成功を収めている企業の存在に驚かれた方も多いかもしれません。
市場が形成される前に基盤をつくった企業だけが、市場が形成された後に多くの
利益を享受できます。海外進出の熱い「想い」のある経営者様には、
ぜひチャレンジをしていただきたいと思います。

 

※「新建ハウジング」弊社コンサルタント寄稿記事より転載


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