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海外進出コラムvol.1 なぜ今海外なのか?

地場ビルダーの海外進出が急増しています。
その背景には、2020年以降の住宅業界では、契約前後の過剰サービスや
大幅な値引き、
1組集客コストの増加、社員の負担が大きい集客施策
(“まだ先客”を対象にしたお祭りイベント・セミナー)などが増えることが想定され、
利益は減り、社員は疲弊が予測されていることがあります。

このままでは、日本の住宅市場に明るい希望を持ちづらくなっているのです。

本連載では、今回を含めて全10回、海外市場の特徴、
海外市場に出る上での注意点、正しい海外進出のステップなどをお伝えいたします。

今回は、日本の市場と比較した海外市場(特に東南アジア市場)
の魅力をお伝えします。
大手ハウスメーカー各社の海外進出も進み、住友林業は米国・豪州で
7000戸の販売実績を持ち、両国のビルダーランキング上位に名前を連ねる
までになっています。
地域ビルダーの海外進出もここ5年間で一気に進み、
すでに10社以上のビルダーが海外に拠点を持つまでになりました。

ここではまず、住宅会社にとっての海外市場の魅力を紹介します。



1. 一次所得者の増加


日本での住宅着工数減少の要因として、景気悪化による所得の減少、
中古住宅流通による新築志向の低下など、さまざまな要因がありますが、
一番大きい要因は、一次取得者の人口(世帯数)の減少です。

海外に目を向けると、これから本格的に一次取得者の増加を迎える国は
数多くあります。図1は、アジア各国の人口、平均年齢および
今後の人口増加期間を示す人口ボーナス期のグラフです。


 

全ての国において日本の平均年齢よりも若く、人口増加が続くことを示しています。
また、米国・豪州においても移民政策により先進国の中では珍しく
人口が増加し続けています(米国は今後の政策は不透明ですが)。
人口(世帯数)減少により活気を失いつつある日本とは異なり、
海外市場には活気のあふれた若い世代が増え続けているのです。


2. 所得の大幅増

 

一次取得者が増加したとしても、所得が上がらない限り
住宅産業に従事するわれわれにとって魅力的な市場とはいえません。
国民の豊かさを示す指標の一つである1人あたりGDPを比較すると、
現在のアジア各国は日本の1960年代後半〜1970年代後半の豊かさ
であるといえます(図2)。


一般的に1人あたりGDPが3000ドルを超えると家電など耐久消費財が普
及し、
5000ドルを超えると自動車や家
などの普及が進むといわれています。

一般層に家が普及するにはもう少しGDPが伸びる必要がありそうですが、
今後のGDPの伸び率を考えると、
一般層に家が普及するのもそう遠い未来の話ではなさそうです。
各国の国民の年収は堅調に伸びており、平均世帯年収も100万円に迫っています。
また、東南アジアは貧富の差が激しく、上位20%と下位20%では10倍以上の
年収格差があり、上位20%に絞ってみれば
200万〜300万円近い世帯年収があり、日本の平均年収に迫る勢いです。
事実、土地建物価格で1億円を超える物件も人気となっているのです。

以上2点を見ても、今後東南アジアを中心とした海外には大きなチャンスが
眠っていると言えるでしょう。
チャンスをつかむのは、市場が爆発的に成長する前にチャレンジし、
先駆者利益を取った者だけです。
そのため、「今」がチャレンジをすべきタイミングと、
多くの地域ビルダーが海外展開に目を向けているのです。



※「新建ハウジング」弊社コンサルタント寄稿記事より転載