Column

コラム


年間30棟未満の工務店のための生き残り戦略 セミナーレポート ーvol.3ー

株式会社リブ・コンサルティング チーフコンサルタント 北山大河による
30棟未満が生き残るためのポイント

▼ 30棟未満の工務店の生き残る道としての「価値の共創」

私が考えているのは、「価値の共創」が工務店の生き残る道だということです。
小規模で地域に密着している企業のゆるぎない優位性は、その土地で生まれ育ち、その地域をよりよくしたいという「想い」だと考えています。
その「想い」を実現する仲間は、お客様や施主様、協力業者はもちろんのこと、かつて社員だったメンバーも含みます。そのような、一生涯のお付き合いの中で、地域の人々の「暮らし」を良くすることができます。

「暮らし」とは「つながり」であり、そのつながりこそが価値になります。
そのつながりを自社が中心となって作り、そこでつながった仲間と一緒に「想い」の実現に向けてより大きなつながり(価値)を共創できる未来こそがわれわれが生き残る道ではないだろうかと考えています。

▼ 採用難と集客難という課題

「価値の共創」する上で、小規模工務店の多くが感じているであろう採用難、集客難について、お伝えさせていただきます。 
まずは置かれている状況として、人手不足による倒産の件数が業種問わず、年々増加しています。


その中で、建設業でも2018年は46件、2019年は49件と微増ながらも増えており、業界に属する人の年齢も徐々に上がっていることから、この傾向がしばらくは続いていくのではないかと考えられます。


人手不足を解消するために、採用活動をされているのではないかと思いますが、実態として、職業求人倍率をみると、一般が2.21倍なのに対して、建設土木業界に絞ると6.18倍と、高く、取りたくても取れないという状況になっています。


もう一つ、人手不足への対策を行っていく上での問題として、「対策を行える人材が不足」という回答が多くなっています。対策を打つ人材自体が足りていないことも、この問題に対して手をこまねいている原因ではないかと思います。


人材難がある一方で、集客難もございます。

昨年は、コロナ禍で住宅会社側のイベント等の自粛が来場者数減少の原因の一つでしたが、今年はそれに加えて、年収減少による購買可能層減少の可能性があります。直近で、住宅購入層の中心を占める30代については、男性で30%、女性では50%超が、世帯所得の減少を感じています。首都圏のデータにはなりますが、全国的にも同様なのではなかと考えております。

子供が小学校に上がる、子供が生まれるというタイミングで住宅が必要になることは変わりませんが、手元資金の関係で住宅購入を先延ばしにする層が増え、集客難に繋がってくると考えられます

 

最終的に大畑社長のように自社の価値観への共感を集めていくためにも、集客対策を行い、事業の安定化、投資余力、人材採用と、繋げていくことが大事です。それが、事業の安定化・継続化に繋がります。自社の大事にしている価値観とはといったコアバリューを明確にしたうえで、実際にお客様をどう集めるのかや、人をどう集めるのかといったところを着手すべきです。

 

▼ 集客難を解決する2つの自社客アプローチ

基本的には、自社客へのアプローチが重要になります。
自社客とは、自社を知っており、自社を気に入っており、自社で建てたくて自社を指名して来場してくれるお客様のことです。
紹介で来てくれたお客様や、初回接客のタイミングにおいて明らかに自社で建てたいと思ってくれているお客様、自社と合いそうなお客様などであれば、一般的な歩留まりと比べるとかなり高くなりますので、いかに確度の高いお客様を集められるのかがポイントになります。

 

では、自社に価値づいているお客様とは、誰でしょうか?間違いないのは、契約者(施主)です。
そして、契約者と同じタイプのお客様を探すためのポイントは二つあります。

1つは、契約者分析を行うこと、もう1つは、契約者から同じタイプの知り合いを紹介してもらうことです。
まず、自社客の分析ですが、これは契約者アンケートの分析を通じて自社と契約した理由を探ります。競合と比べた中で、自社がどこに優位性を持っているのかを捉えるということになります。ここに、デジタルを使ってアプローチします。
なぜデジタルで行う必要があるかというと、アンケート分析によって判明した自社客データをもとに、同じ属性と思われる客層に絞り込んだ上でデジタルマーケティング(広告の配信等)が可能だからです。

 

もう1つは、紹介による自社客アプローチです。
自社の価値を広げるために、関わる人すべてに紹介してもらうことが重要だと考えています。価値共創を実現するためには、自社とお客様という対立構造ではいけません。自社が地域にできる価値発揮、エリアを良くしていくためにするべきことを、自社が中心となって、地域住民や協力業者と一体となることが重要です。それにより、「ここでの暮らしは皆で作っていくんだよね」という紹介ネットワークを構築することができます。それが固まっていれば、大手企業といえども簡単には切り崩せなくなります。

 具体的な紹介の取り方は別の機会でもお伝えしますが、契約時、引き渡し時、引き渡し後と、満足度が高いタイミングで協力を仰ぐことがポイントになってくるかと思います。紹介を依頼することに抵抗感を持つ人も中にはいらっしゃいますが、自社都合ではなく、エリアを良くするための活動として協力してくださいというスタンスで臨むことが必要になります。


とはいえ、嫌がるお客様もいるのではないかと思います。
まず、お客様の志向性や自社との関係性によって協力度はもちろん変わってくますので、関係性を見極めていくことが重要になります。

取組の一例をご紹介します。
1年間の終わりに毎年カレンダーを配って回る中で、話せている人に紹介依頼をすることはあったと思います。そうした中で、お客様を過去紹介してくれた方やこれからしてくれそうな方を、データとして残し、分類することが重要になります。システムについての詳細は、別の機会にご説明できればと思います。

 

株式会社リブ・コンサルティング マネージャー 金暢彦による総括

▼ 総括

一番大事なことは、大畑社長にご発表いただいた内容と同じく、本質的に何が必要かを問うことです。価値を生み出していく上で、自社の価値は何なのかを考えることが重要になります。
重要度×緊急度のマトリックスで並べてみたいと思います。

コアバリューの構築や顧客向けのブランディングは当然重要で緊急度が高くなります。業績が落ちている場合や集客が上手くいっていないといった場合は、大畑社長の言葉をお借りすると、共感を得られていないということになります。そうした場合は、提供価値のアップデートや、紹介活動、SNS集客などの施策が重要になってきます。

上記はすでにできるといった場合には、重要度は高いものの緊急度が低い組織向けブランディングに対しても、きちんと時間を投じていくことが必要になります。お客様の対応が忙しくて後回しにされがちですが、大畑社長からもありましたように、経営理念があることで採用が上手くいくことにも繋がります。なので、組織向けのブランディングに力を入れることがポイントとなってきます。23年後に向けた施策だと思われがちですが、意外と半年くらいで効果が出ることもあります。なので、緊急度が低そうに見えても積極的に取り組むべきです。


最後に、優れた経営者の共通点をお伝えできればと思います。

1つ目は、目線を上げることです。
重要なのは経営者のモチベーションで、自分を奮い立たせるためには目線を上げる必要があります。大畑社長のように住宅業界全体のことや地域のことを考える目線の高さが、大変なことがある中で自分を奮い立たせることに繋がります。自分を奮い立たせることで、結果にも繋がります。

2つ目は、時間投資をすることです。
重要度が高いけど緊急度が低いようなことに対してもメスを入れていく必要があります。社長もお忙しいとは思いますが、大切なことに時間を突っ込むことがポイントになります。

そして3つ目は、外部をうまく使うことです。
経営スピードを上げるためには、外部をうまく使う必要があります。今までは外部を使わなくても成り立っていましたが、現在は経営スピードが重要になってきており、スピードを上げるためにも使うべきだと思います。信頼できる人に頼るべきなので、そういった方を見つけていただければと思っています。
稲盛和夫さんも「燃える闘魂」ということを仰っていますが、経営には気持ちが大事です。そうした燃える気持ちを持って、住宅業界を盛り上げていければと思います。

 

本稿は、2021年3月に開催した「年間30棟未満の工務店のための生き残り戦略セミナー」にご登壇いただいたした株式会社大畑建設 代表取締役 大畑徳晃氏の講演内容を編集したものです。
株式会社大畑建設様は、純利益率全国1位※の実績を持ち、紹介受注比率50%以上というお客様に支持されている工務店です。
※日経ホームビルダー調べ

 

<PREVIOUS

本コラムを紙面でご覧頂きたい方は上記より資料をDLください