■はじめに
一般的に、「報・連・相」は、社内の業務を円滑に進める為に
必要不可欠なものであると認識されている。
しかし、若手メンバーにとって上司への報告の場は、
単に仕事を円滑に進める為だけのものではなく、
教育の場ともなりえるのである。
皆さんは、報告の場を「若手メンバーの能力を向上させる機会」
であると認識して報告をさせているだろうか。
あるいは、認識をしていたとしても、その場を正しく、効果的に
活用できているだろうか。
今一度、振り返って考えていただきたい。
■報告のさせ方で、行動が変わる
では、報告が「教育の場」とはどういう意味であるだろうか。
例えば、営業案件の報告の場をイメージしていただくと
理解しやすいと思う。
あるマネージャーは、若手メンバーが接客をした後に、
「今のお客さん、どうだった?」と聞く。
すると若手メンバーは「見込み客になりそうです。アポも取れました。」
と答える。
更にマネージャーが、「予算はどうだった?」と質問を続けると、
若手メンバーが「頭金はあるそうですが、総予算は聞いていません。」
と答える
また、別の若手メンバーに同じような質問をすると、
「土地無し客なので、土地の提案からです。予算が厳しいかもしれません。」
という答えが返ってきた。
その上で、マネージャーは親からの援助があるのかどうかを確認すると、
若手メンバーは、確認し忘れたということだった。
これは単に若手メンバーが初回接客における必要行動を
認識できておらず、必要なことを聞き漏らしてしまっているに過ぎない。
従って、毎回上司が注意をすれば良いとも考えられるが、
報告すべき内容が曖昧であると、必要行動に対する意識も希薄になり、
ヌケ・モレも発生しやすくなる。
一方で、優秀なマネージャーの場合は、
お客様に必ず確認する項目を事前に決めているだけでなく、
報告の内容や順番まで指示をすることで
若手メンバーが事前に必要行動をとるよう仕向けているのだ。
例えば、初回接客後は
1)家を買おうと思った動機
2)入居したいと思っている時期とその理由
3)予算 (総予算、自己資金、年収、月々の返済額、債務.etc)
を、お客様に聞けたかどうかを報告させるといった具合だ。
このように、報告の仕方について一定の流れやポイントを決めて
「正しい報告」をさせる事によって、
若手メンバーも必要不可欠な行動を意識して取るようになる。
また上司としては、聞き漏らしが多い項目や苦手な項目を把握し、
適切な指導ができるようになる。
しかし、多くのマネージャーは、報告をさせること自体は
習慣づけられていても、具体的に、何を、どの順番で
報告するのかまで教えきれていないのだ。
■正しい報告の仕方とは
正しい報告の仕方には以下の5つのポイントがある。
1)結果から報告する
2)主観と客観を分けて報告する(数値で表せるものは、数値の裏付けを元に)
3)タイムリーに報告する
4)相手が求めるレベルで報告する(報告する内容を明確している)
5)同じ手順で報告する
こうした報告の仕方を若手メンバーに習慣づけさせることが大切だ。
しかしこうした形式は、ある意味、とても機械的であるため、
マネージャーがいつの間にかその「型」を崩してしまい、
自分が聞きたい事だけ質問をするようになることが多い。
上司がルールを破ることで、若手メンバーもルール通りに
報告をしなくなってしまう。
そしてそれが更に悪化すると、必要行動自体も疎かになってしまうのである。
つまり、マネージャー自身も若手メンバーを育成する為に、
報告を受ける時には、正しい報告の受け方を常に意識する必要がある。
これを地道に繰り返す事によって、若手メンバーの成長スピードは
大きく違ってくることを、ぜひ認識しておいて欲しい。