御社の若手メンバーは、モチベーション高く仕事が出来ているだろうか。
集客が減り、お客様の購買熱も上がりにくいタイミングでは、
営業活動をしていても中々成果が上がらず、
モチベーションが保ちにくくなって当然である。
それでも上司としては
「新人だからまだ売れないのは仕方ない」
「仕事の楽しさを覚えながら、ゆっくり成長してくれればいい」
などと悠長なことも言っていられないのが現実だ。
しかし上司の余裕がなくなると、
「なるべく早く力をつけてほしい」という気持ちが空回りして
若手に対して必要以上に厳しく接してしまいがちである。
実際、若手メンバーへの指導が、
「あれができていないからだ」
「もっとこうしろ」
と「叱るだけ」になっていないだろうか?
若手メンバーを成長させるためには、
「褒める」と「叱る」をバランスよく使い分けることが不可欠だ。
■ピグマリオン効果とゴーレム効果
心理学の研究で、「ピグマリオン効果」と「ゴーレム効果」
という研究がある。
この研究では、ある学校の小学生に知能テストを行い、
そのなかから無作為に数名の生徒を選んで、
「この子たちが伸びる」と偽りの情報を教師に伝えた。
それを信じた教師が、その子たちに期待をこめて指導したところ、
本当にぐんぐん成績が伸びていったというものである。
これがピグマリオン効果と呼ばれるものである。
逆に、「期待」をかけられず、
「この子はダメだ」「ここがダメだ」と言われ続けると、
本当にその通り「ダメな子」「できない子」になってしまう。
これがゴーレム効果である。
叱る本人は「期待しているつもり」で叱っていたとしても、
叱られる側に伝わっていなければ、「自分はダメだ」と感じ取ってしまう。
それを避けるためには「叱る」だけではなく、
「褒める」ことも同じくらい必要なのだ。
では、なかなか成績が上がらない中で、どうやって褒めれば良いのか。
2つほど、ポイントを挙げてみたい。
1)プロセスを褒める
結果が出ていなくても褒められるものは何か。
それは、プロセスにおけるよい行動そのものである。
例えば、初回接客でアポが取れなかったとしても、
そこまでのプロセス、つまり接客内容で良かった部分は無いだろうか。
「あのお客様は慎重だったから、結果としてアポは取れなかったね。
だけど、間違いなく良い印象は持って帰っていただけたと思うよ。
○○さんは、お出迎えの時の笑顔とか、お子様への気遣いとか、
そういったホスピタリティの部分がすごく良くなっている。
うちの会社の説明も上手になってきたから、
繰り返していけば絶対成果が出るよ」
と、結果が出なかったときこそ、
プロセスの中で褒められる部分を探してあげることで、
部下は良い行動を継続できるようになる。
2)「上司」ではなく「部下」の目線で褒める
入社してから叱られてばっかりで、
本当に自分は成長しているのだろうか。
ひょっとして、この仕事は自分には向いていなかったのではないか・・・。
自分自身がいつまでも成長を感じられないと、
マジメな人ほど「負のスパイラル」に陥ってしまう。
そうならないためには、「部下の成長を感じている」と
伝えてあげることが必要である。
上司から見ると「出来て当たり前」のことであっても、
若手メンバーにとっては「この一週間で出来るようになったこと」
があるのではないだろうか。
朝出社した時、元気な挨拶できるようになったね!
分からないことがあった時、ちゃんと相談してくれるようになったね!
このような、社会人として当たり前のことであったとしても、
「できなかったことができるようになった」ことを実感することが、
若手メンバーにとっては大切なのである。
■叱る時は「2ストライク1ボール」で
それでも、やはり
「叱らなければいけないこと」「指摘しないといけないこと」
の方が多いのが現実だろう。
その際には
「良くなっていること2つ+まだまだ改善が必要なこと1つ」という
「2ストライク1ボール」のルールで指摘すると良い。
改善すべき点を自覚しているとしても、
「叱られた」というマイナスの感情が先に立ってしまうと、
なかなか受け入れられないこともある。
それが、「○○は良くなっている」とプラスの面を伝えられてから、
マイナス面を指摘されると、フラットな気持ちで聞き入れやすくなる。
叱りたい気持ちをぐっと我慢し、
まずは「○○は着実に良くなっている。○○も良い」と褒めたうえで、
改善してほしいことを伝えてみると効果的である。
若手メンバーの成長のためには、
本人の「成長したい」というモチベーションが不可欠である。
厳しい環境のときこそ、
モチベーションを保つための「褒める」ポイントを、ぜひご活用いただきたい。