Works

成果事例


お話を伺った方

freee株式会社
アライアンス事業部 セールスマネージャー
岡本 兼明 様

Company Profile・・・・・・・・・・・・・・・
経理・人事労務関連のクラウドサービスにおいて国内No.1のシェアを誇る「freee」を展開。2012年の創業ながらも昨年上場を果たし、中小企業のバックオフィス(間接部門)の効率化から経営スピードの向上を推進する国内における注目テックプレイヤー。住宅・不動産会社においても急速に導入が進み続ける中で様々なテック企業と連携を取りながら住宅・不動産DXを推進。

会社紹介と事業内容を教えてください

freeeはバックオフィスに関するクラウドサービスを提供する会社で、2012年7月に設立しました。
企業の運営では「会計ソフト」、企業を育てるという点では「人事労務ソフト」という2つを主なプロダクトとしています。また、最近はバックオフィス向けのプロダクトのみならず、プロジェクトの工数が把握できたり、プロジェクトごとの収支が見られるプロダクトの開発も行っており、フロント・ミドル領域にも開発を広げています。また、電子契約のNINJA SIGNをグループに加え、今後はクラウドサインをはじめとする契約関係向けのプロダクトも増やしていきます。

御社の強みや特徴はどのような点でしょうか

開発力があることです。
また、APIをパブリックに公開し、クラウドサービスの連携数が多い点もクラウド業界の中で大きな特徴と思っています。
マーケットシェアの面では、IPO企業、上場企業、IPOに向けて準備している企業のマーケットシェアが他社と比べて圧倒的に多いといえます。

freee様がコンサルティング会社を利用した背景をお伺いできますか?

freeeはもともと首都圏マーケットでのオンラインマーケティングに力を入れていていました。首都圏ではリードから案件を獲得していたのですが、地方のマーケットを攻略していく狙いもあり、その点ではオンラインマーケティングだけでは難しい業種や業界があると思っていました。そこで「freeeの強み×コンサルの強み」で、インダストリー別に業種特化に攻めることができないだろうかと考えました。

リブさんにお願いをすることになったのは、リブさんの住宅不動産事業本部の部長と当社の部長が元々知り合いだったことがきっかけで話がはじまり、「業種特化で一緒に攻めませんか?」とご提案いただいたので、当社の進むべき方向性と一致したという流れです。

ちなみに、この話の前にもリブさんとは、代理店向けの教育コンテンツ作成でご一緒していました。当時から当社は代理店販売を通じてユーザーを獲得していたため、その取り組みを加速させていくために、freeeが直販で行っていたセールスナレッジを文字起こししてもらったりスライドにしてもらったりということをしていただいていました。「住宅不動産業界の攻略プロジェクト」第2のプロジェクトの位置づけになります。

このタイミングであった理由についてもお聞かせください

大きく3点あります。
1つ目は自社直販のセールスだけでは接触できない企業があることが背景にあります。
2つ目の理由は市場の面です。
競合である弥生会計や勘定奉行などの老舗がシェア持っている一方、世の中では少しずつクラウド化の風が吹いてきました。
3つ目はコロナ禍でIT導入の補助金が設定されたことなどもあったため、会社として投資領域であり、事業をブーストさせていくタイミングであると捉えたと言えます。

数あるコンサルティング会社の中で、リブ・コンサルティングを選んだ理由を教えて下さい

大手の競合は従業員数1,000名以上の企業を狙っていますが、freeeはリブさんと同じく従業員数300名以下の企業がメインターゲットのためクライアントとターゲット層が近かったことが挙げられます。また拠点が東京にあるため、一緒に取り組んでいく上で活動しやすいという理由もありました。
同じように住宅不動産業界に知見があり、中小企業を対象にコンサルティングをしている会社もありましたが、リブさんの方がスピード感があり、より早く、一歩先に踏み込みながら一緒にチャレンジできるという判断もあったと思います。

コンサルティング費用面についてはどうご判断されましたか?

初期の取り組みに関しては、協業によってfreeeとして知見を貯めたいという狙いはありました。また、ROI(Return On Investment)で考えると、チャレンジし、フィードバックの結果をもとに次の一手が打てます。
会社としてコンサルティングファームの活用に投資してくれたことはありがたいと感じています。

支援内容についてはいかがでしたか

住宅不動産業界に向けてfreeeを広げていくために、kintoneを活用した住宅業向けのアプリパッケージを共同開発しました。その際に、「こういう時に使うとこういうことができる」、「こんなことができたらもっといい」といった、freeeがこれまで気づいてなかった価値に気づけたと思います。
それらは1つ1つアプリに反映されていますし、データとデータの連携やUI改善の面などでもアドバイスをいただきました。
担当者には、色々と無理を言って対応してもらったこともありますが、1つ1つ真摯に対応いただきました。だからこそ、ここまでスピード感を持って取り組めたと思います。コンサルを入れずに代理店とのやり取りではおそらく実現が難しかったと思います。あらためてリブさんと組んで良かったと思います。

支援満足度としてはいかがでしたか

当時のfreeeには住宅不動産業界の知見がなく、どういう経理をやっているか、そもそもどういうビジネスモデルなのかなど、業界内では当たり前にわかっていることがわれわれにはわかっていません。
そういう状況で、リブさんからは、住宅不動産会社の粗利の構造などを細かく教えてもらいました。それが実際にプロダクトの構成や開発にも生きています。

住宅不動産業界と他業種の違いを感じた点をもう少し詳しくお聞かせいただけますか?

はい。例えば、会計業務で見ると、住宅不動産業界と建設業は、工期に対する進捗の状況を見て「この期間の金額はこの仕訳で入力、残りは別の仕分けで入力する」といった細かな仕分けがあります。そこは異業種にあまり見られない特徴です。
また予算管理についても、住宅不動産業界には、

  1. 見積もり予算
  2. 実行予算
  3.  完工予算

といった業界独特の予算管理があります。
私もようやく理解したのですが、1つ目の見積もり予算は、営業が施主向けに提示する簡単な見積もり、2つ目の実行予算は、契約粗利を設定し、その粗利を確保するために設定する予算、3つ目の完工予算は、実際に家ができた時の予算と教わりました。

住宅業界において、実行予算と完工予算がズレてしまうことがあり、従来は、完工予算が低くなったとしても、その差分を明確に分析するのが難しいという点が課題として挙がりました。
その原因をfreeeを使えば明確にできますが、そもそも、そのような提案は住宅不動産の業務内容についてわかっていないと出せません。

リブさんとの取り組みを通じて、顧客の課題を鮮明に把握し提案をすることが出来るようになり、営業がスキルアップできたことも成果だと思います。

定量面での成果は何かありましたか?

freeeの中でのKPI、例えば、リードからアポイントの獲得率とか、アポイントから案件化に繋がる率、最終契約率といった指標からは大きなズレはありませんでした。むしろ案件化した後の契約率は高かったといえます。契約した会社からグループ会社への導入するケースもあり、単価も伸びました。

全体計画はリード獲得に苦戦し上手く行かなかった面があります。先進的に打ち出せる事例も不足していましたし、freee側として、住宅不動産業界という大きな括りで考えていたこともズレにつながったと思います。住宅不動産業界といっても、仲介、売買、賃貸などがありますし、住宅関連だけでも、新築、中古、リフォームなどがあります。細かくブレイクダウンできていなかったことがズレにつながった可能性はあると思います。

進めていく過程で見えてきた課題に対してどのように対処していきましたか?

集客手段として、当初はFAXを使っていたのですが、うまくいきませんでした。
また、4月くらいからは緊急事態宣言下ということもあり、ウェビナーを開始しました。住宅不動産業界向けにfreeeでウェビナーを開いても集客できませんので、リブさんのウェビナーでfreeeの話をしてもらいましたが、それもなかなかうまくいきませんでした。

コンテンツはIT導入補助金の話をしたり、PLのトップラインを上げる話をしたり、コスト削減や人材不足を解消する話をしたり、あの手この手で集客に取り組みました。

色々検証した挙句、不動産テックの会社を入れて、3社共催でのウェビナーを開くことにしました。結果、30社くらいの参加があり、その中から契約が生まれました。この時が「これから徐々に成果が見込めそうだ!」と手ごたえを感じられる瞬間でした。

色んなチャレンジや失敗があった中で感じたリブ・コンサルティングの特徴は何かありますか?

リブさんは実際に人が動いてくれます。
また、freeeのプロダクトをよく理解していますので、リードを作り、契約手前の状態まで持っていってもらい、最終の契約の手続きだけ私が行う
といったこともありました。われわれとしては手離れが早く、そこがよかった点だと感じます。プロダクトの理解が早いこと、動きにスピード感があることなどは、当初の期待通りです。

工務店EXPOにfreeeが出展した際には、リブさんも別でアンバサダークラウドの出展をされているということがありました。
その時も、リブさんのメンバーがfreeeのブースに手伝いに来てくれました。freeeとしては展示会のブースはそれまでも何度か出していたのですが、業種特化の工務店だけに絞ったイベントは初めてのことです。freeeの認知度が低い中で、リブさんからは、もうちょっとこうした方がいい、こういうデザインの方がいい、もっと看板を出しましょうといった具体的なアドバイスをもらいました。

支援全体のご評価をおきかせください

私は実家が建設業で、業界について少なからず知識があるだろうということからリブさんとのアライアンスを担当することになったのですが、コンサルティング会社と一緒に仕事するのは今回が初めてでした。
そのため「どこまでお願いしていいか」がなかなか見えませんでした。どこまでYESと言ってくれるのか探り探りでしたし、多分、担当者さんもfreeeに対する遠慮があったのではないかと思います。
そんな中、無茶振りもあったと思いますが、言えば必ずやってくれるということはすぐに実感しました。
また、リブさんの担当者には「できるだけ手離れよくしてほしい」と伝えていたこともあってか、商談を引き受けてくれたり、確度が高い案件と判断した上でこちらに渡してくれるなど、freeeのリソースを使わずに、リブさん側で率先して動いていこうという姿勢が伝わってきました。もっとお願いしておけばよかったです(笑)。

最後に、御社の今後の展望をお聞かせください

「会計ソフトのfreee」ではなく、「経営プラットホームのfreee」として認知されることがわれわれの目指している世界観です。
また、そのための開発も随時進めています。

経営者の課題は会計ソフトだけでは解決できません。従来の方法としては、顧問税理士に聞いたりコンサルティング会社に依頼するといった方法があり、それも引き続き重要だとは思いますが、freeeというツールを使うことで、経営状況をリアルタイムで見られたり、見えたことによって次の一手が早く、正確に打てるといったこともあります。

運転資金がショートしそうな時に資金調達を支援するツールを用意していたりもするので、そのようなプロダクトも含めて、スモールビジネスの生産性をさらに高めていく企業に成長していきたいと思っています。


UPDATE
2021.06.04
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