Works

成果事例


 

お話を伺った方

十津川村森林組合
森林加工課 玉置 信之 様

Company Profile・・・・・・・・・・・・・・・
1973年設立。十津川村の森を守り環境保全に努め、木材製品の製造・販売まで幅広く展開し、豊かな森林資源を後世まで残す活動をしている。

組合の特徴を教えてください。

私たちは、奈良県の最南端、和歌山県に面した十津川村という村で、森林の管理や木材の加工を請け負う森林組合です。十津川村は昔から林業を生業としてきた村であり、その村の林業を支えるために重要なのが森林組合です。十津川村森林組合は「山を守ることは、山の民の責務」と考え、村と一緒に林業再生に取り組んでいます。伐採と植林を繰り返す持続可能な林業をモットーに、山づくりから製材、加工、販売までを一貫管理するいわゆる「林業の6次産業化」を目指しております。

組合の状況と取り組まれていることを教えてください。

林業を取り巻く状況は厳しさを増しています。日本の木材の大半は建築資材と製紙用材ですが、木材の国内需要は建築市場の縮小により、ここ30年ほど減少傾向にあります。今後も人口減少を背景に、長期的には縮小していくことが予想されています。特に住宅の新規着工数の減少は林業に大きな影響を与えています。そのため、縮小する需要をどのように囲っていくか、つまりハウスメーカーや地場のビルダーとの接点づくりが林業に求められているという状況です。

さらに他業種より災害発生率が高いといった理由から人手不足も深刻で、若い働き手の確保が全国の林業関係者の大きな関心事になっています。人手不足や顧客の取り逃しなどが重なり、全国には赤字経営の森林組合も多い一方で、森林組合は国の施策に依存する行政機関の末端であるという側面もあり、どうしても補助金に依存する体質から脱却できないことがしばしばあります。

私たちの森林組合もそれと同じく、厳しい経営状況が続いています。ただ、私たちは平成23年の紀伊半島大水害を契機に、村の根幹をなす林業の再生に村一丸となって取り組み始めました。補助金に依存するのではなく、自立して経営し、村を引っ張っていくような森林組合にすることを目指し、「林業の6次産業化」を掲げております。

私たちが作った木を使って建てられた住宅を、お客様にとって「この木材を作ったのは誰か」がわかる安心の家「産直住宅」として広めていこうと、畿内の各工務店に働きかけを進めております。

リブ・コンサルティングを知ったきっかけと、当社に依頼いただいた経緯を教えてください。

リブ・コンサルティングを知ったのは、もともとご縁があり十津川村の木を使っていただいていた工務店様からの情報がきっかけです。人財や組織に関する課題の解決のために手を貸してくれるコンサルティング会社として教えていただきました。

その後、リブ・コンサルティングのコンサルタントの方に村内まで来ていただき、村のことをよく知ってもらった上で、何がこの村の林業の課題か、どう解決していくべきかを具体的に考えた提案をしてもらいました。リブ・コンサルティングの中でも日本の林業を良くしていきたいという思いを持ったコンサルタントがいたので、その思いと私たちの村が目指す「林業の6次産業化」をすり合わせながらお話を進めていった結果、まずは森林組合の採用の問題を解決してほしいということをお願いすることになりました。

林業という業界には、コンサルティングはほとんど浸透していないというのが現状です。その理由は内向きの経営体質や補助金への依存、そもそも行政機関に近いことなどが挙げられます。そういった状況の中で市場は厳しくなり、当組合でも何年も売上目標に到達しない状況が続きました。十津川村森林組合では、そうした事業上の課題をこれまでさまざまなアプローチで解決しようと試みてきましたが、リブ・コンサルティングは人財・育成・配置などの組織的課題解決でのアプローチを提示してくれました。また、林業を通じて村全体を盛り上げていこうという動きに共感してくれたことも決め手の一つです。貴社の持つノウハウを使って、地域活性化を目指していきたいと思い、コンサルティングを依頼することになりました。          

支援(コンサルティング)の内容と感想をお聞かせください。

コンサルティングの内容は、主に採用活動のテコ入れでした。組織全体をミーティングの中で整理し、今後必要なのがどういった人財なのかを一緒に考えることで、採用目標自体を検討し直しました。そして母集団づくりや面談のやり方についてアドバイスをもらい、今までやっていなかったやり方で求職者に接することを始めました。さらに採用のためには森林組合自体の業績の改善も必要だということで、営業活動にも手を貸してもらいました。木材納入棟数の目標を達成するために必要なことは何なのかを特定したり、どこにどういった営業を掛けていくのかを整理したり、ロゴやパンフレットを一緒に作成したりといったさまざまな支援をしていただきました。

全体的な感想としては、私たちの持っていない採用や営業のノウハウを提供してもらったという意味では想定内だった一方で、村や森林組合と貴社が一緒になってやっていくという関係性ができたことは考えていた以上にうれしい驚きでした。自分たちを外部から見つめる視点として、今後どういった方向へと進んでいくのかを整理して捉えやすくしてくれると同時に、伴走者として一緒に村の未来を作っていく存在にもなってくれたと思います。

支援(コンサルティング)実施後の成果を教えてください。

採用目標を達成することができました。また取り組みを通じて、採用の仕組みを整えるきっかけになりました。他にも組織体制上の問題や営業の仕組みといった面での取り組みが進んでいます。

ただ、リブ・コンサルティングの支援成果はこうした数値上の成果だけではなく、むしろ意識の変化の方が大きいかもしれません。それは採用や営業の仕組みの議論を通じ、外部からどう見られているのかを強く意識することができるようになったということです。外部の目線を意識することで、自分たちの強みや弱みも分かってきています。そのため、以前より自信を持って住宅関連の企業様に十津川材の魅力をPRすることができています。こうした意識の変化、考え方のアップデートが進んだということが私たちにとっての最大の成果でした。          

今後の展望についてお聞かせください。

十津川村には素晴らしい森と木と人が息づいています。しかし、林業に携わる全国の組合や企業がそうであるように、私たちは職人体質であり、組織経営や外部からの目線を持ち合わせていませんでした。しかし、今の林業はそうした組織経営の目線や採用・営業のためのブランディングへの努力が必須になっているように感じます。
リブ・コンサルティングには組織課題の解決ノウハウと住宅業界の現場の知識があるので、当組合としても今後も二人三脚で前へ進んでいきたいと感じています。直近では、売上目標は上回りましたが、利益目標は下回ってしまいました。現在は見直した組織の安全管理体制の再構築や、作業手順や機械稼働率、粗利の改善といったより細かい領域でリブ・コンサルティングにお手伝いしてもらっています。今後事業が軌道に乗り、森林組合がさらに人財採用を行い成長することができれば、十津川村は人が増え、さらに活気づいてくるはずと思います。リブ・コンサルティングとともに、明るい十津川村の未来を切り開いていきたいと思います。

UPDATE
2019.09.03
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