お話を伺った方
株式会社コンベックス
代表取締役 美里 泰正 様
Company Profile・・・・・・・・・・・・・・・
営業ノウハウ×テクノロジーを追求したサービスを展開。10,000人以上のセールスパーソンを分析したノウハウをもとに、営業支援システム「TELE-ALL-ONE」、住宅・不動産会社向けのセールスマーケティングツール「Digima」の開発、導入支援をしている。新規開拓のテレアポからフォローコール、Webとメールの活用まで一貫して売上アップに繋がる支援に取り組んでいる。
御社の会社紹介、事業内容、特徴について教えてください
コンベックスは、「世界中に「良縁」を。」というミッションを掲げています。
「良縁」とは、お客様と営業、企業と個人が良縁になるという意味で、「”かけがえのない出会い”があって、”絆が深まっていく”」という二つをポイントにしています。
セールスは従来、狩猟やハンターの文化がありましたが、今は情報や人とのつながりがオープンでソーシャルな時代に変わってきておりますので、かつてないほどエンゲージメントが必要になってきていると考えています。
したがって、営業効率を上げる等も当然大事ですが、その取り組みだけでは足りないだろうという問題意識から、評判・エンゲージメントを大事にする「良縁」が必要になると思っています。
現状として良縁が生まれていないとすれば、その理由の一つは、住宅不動産の場合は営業担当者が忙しいからです。現場もあるし打ち合わせもあります。かつオンライン化が進んで営業が難しくなり、お客さんをフォローする余裕がありません。その課題を、われわれのサービスを通じてテクノロジーの力で解決します。セールステックの中では、分野で言うと「セールスエンゲージメントプラットホーム」です。今後リブランディングしていく予定もあります。
Digimaのサービスの特徴を改めて教えてください
Digimaは、住宅不動産業界に特化したのセールスエンゲージメントで、特徴は三つあります。
一つは、マルチチャネルであることです。BtoCの世界ではメールを見なくなってきていますし、世代によってよく使うチャネルの差もあります。かと言って、新規のお客さんの開拓でLINEを聞いて友達化するのも無理があるでしょう。そのような状況を踏まえて、メール、SNS、電話をマルチチャネルで全て連動させています。
二つ目の特徴は、マルチチャネルのつながりが全て1to1になっていることです。プロモーション方法としてはメールの一斉配信やインフォメールなど様々なものがありますが、それらはすでに世の中に溢れかえっています。結果、誰も見ません。そこで求められるのが1to1であることで、とくに住宅のような高額商材を扱う場合はさらに1to1である重要性が増します。住宅不動産におけるセールス活動では固有の文脈として、購入に向けて背中を押してもらったり、営業マンを信用して買うという要素がありますよね。そのため、反響が入る早期の段階で営業担当がアサインされ、その後の配信も全て担当者が行う1to1の設計なっていることが大事です。タイムラインもUIも全て1to1を意識したものになっていて、その点がDigimaが住宅不動産に向いている特徴です。
三つ目の特徴はオートメーションです。マルチチャネルで1to1の形にすると、営業担当者は「メールだけでも大変なのにSNSも電話もしないといけないのか…」「大変です、できません…」となってしまいます。そこでセールスオートメーションが必要になります。オートメーションによって営業担当者の手が回らないところでタイムリーなフォローが動きます。この三つがセットになってセールスエンゲージメントをマネジメントすることにより競争優位性が生まれています。
弊社、リブ・コンサルティング(以下リブ)がご支援することになった背景から教えていただけますか?
最初は、リブさんのクライアント企業がセールスエンゲージメントで悩んでいた時にDigimaを紹介していただいたことがきっかけです。その問い合わせをいただいた後に、リブさんとディスカッションする機会があり、その時にリブのご担当者が「住宅不動産業界には固有の文脈があるので、既存のMAは住宅不動産業界に合わない」とおっしゃっていて、そこに共感を覚えて、そこから具体的な支援の話につながっていきました。
ちなみに、そのタイミングが2020年3月で、コロナ禍で緊急事態宣言が発令されるタイミングでした。世の中の状況を考えると、ここは様子見するのが普通なのかもしれませんが、逆にやろうと決めました。緊急事態宣言でリブさんの手が空けば、しっかり支援してくれるのではないかと思って(笑)。
スタート時の支援テーマ/内容はどのようなものでしたか?
二つあります。一つ目はセミナーです。セミナーを通じてセールスエンゲージメントを打ち出そうとしていたタイミングで、そのためのセミナーに一緒に取り組みをしました。二つ目は、成功事例の創出を依頼しました。当時もいくつか事例はあったのですが、リソースが足りていないこともあり、クライアントボイスとしては薄めのものでした。そこで、二つ、三つ事例を作りたいと考えていたのです。
他に検討したこととしては営業支援などもあったのですが、その時点では、まだいいかと判断しました。結果的には今年から営業資料の作成も依頼することになるのですが、振り返ってみると、リブさんからの提案は、単なるアップセルの提案というわけではなく、その時点で本当に足りないことをディスカッションしながら提案してくれています。これを先にやった方がいい、ここが足りないという部分を言ってくれていると感じましたし、その点での信頼があります。
「成功事例の創出(クライアントボイス)」を重視した理由を教えていただけますか?
われわれのサービスは新規契約の54%が紹介です。元々紹介に強かったので、事例が増えることによってブーストするのが分かっていました。プロダクトに自信がありますし、プレゼンからの契約数も多かったので、足りてないのは事例のリアリティであり、大手企業の導入事例だと考えました。それがあればブーストするという予見性があったということです。
リブ・コンサルティング以外のコンサルティング会社とは比較をされましたか?
比較は全くありませんでした。そもそもコンサルを入れる発想もありませんでした。その理由は、そういったサービスがないと思っていましたし、できる会社がないだろうと思っていたためです。リブさんから話を聞いて、住宅不動産業界の知見がある会社であり、われわれの求めていることを支援できるということを知りました。
われわれとしても、今までに色々な顧問を使い倒してきましたが、最終的には自分たちで考えなければなりません。外部の人は色々と言いますが、自分たちで考えるわけではないので、勇気をもって無視することが多かったといえます。
また、リブさんから問い合わせを受けるまでは、業界を絞らずに広く展開しようとしていました。2019年秋に今のバージョンができ、プロダクトが磨かれたタイミングで、よく見てみたら住宅不動産が多いと気づきました。僕自身も不動産業界の出身ですし土地勘があるのですが、絞りきれなかったのです。起業家向けの本に「絞れ」って書いてあるのですが、わかっていてもできない時があります。広げたくなります。その方が契約が取れるわけです。
しかし、それではサクセスできません。そこで、やはり絞ろうと考えたのが19年9月です。そのタイミングでリブさんと接点ができ、ディスカッションが20年1月か2月、コンサルのスタートが4月くらいです。絞ったタイミングでリブさんに住宅不動産の知見があるということがわかったので、もう迷うことはありませんでした。
コンサルティング会社に依頼するにあたり金額的面はどうお考えでしたでしょうか?
リブさんの支援は、「高いだろうな」と思っていて、期待を裏切らない高さでした(笑)。ただ、その時は営業支援はひとまず不要と考え、支援内容を絞ったこともあって、納得感はありました。
また、SaaSはLTVで計算するとどれくらいでペイできるかわかります。「2件契約が増えればペイ出来るな」と捉えたことで、経営判断できました。
外部のコンサル会社を使わずに、社内で行おうというご判断をされなかったのはなぜですか?
内製を考えなかったのは、リソースが足りないのが問題だったためです。リブさんの支援はリソースが動いてくれる点が大きな特徴です。例えば、広告費として何百万円か使っても予見性がないのではなく、絶対成果物としてクライアントボイスが2つできます。セミナーもできます。そう考えたため、迷いはありませんでした。
支援の結果はいかがでしたでしょうか?
クライアントボイスは想定より時間がかかりました。ただ、担当者が本気で営業をしてくれて、新規の契約が7社くらい決まりました。担当者がDigimaのサービスを愛してくれていますので、直接契約を持って来てくださったわけです。そこで金額的には完全にペイしましたし、そこで延長も決めました(笑)。
その動きを見た時に、本気でやってくれているなと感じたことが大きかったです。クライアントボイスは遅れましたが、結果的には補って余りある「契約」が生まれました。マーケットにフィットしていたので売りやすかったのかもしれませんが、担当者が「セールスエンゲージメント」という考え方を深く共感してくれているのを感じます。社員以上にエンゲージメントを感じますし、期待以上の熱い動きをしてくれたことに感謝しています。
その結果も踏まえて、リブ・コンサルティングの支援満足度はいかがでしょうか?
結論は、大変満足しています。
契約が7件出ていることもありますし、副次効果で「リブさんに聞いたので」という契約も増えてきております。
同時に、われわれ自身も、セミナーを行っていく中でDigimaやセールスエンゲージメントの価値に改めて気づいたと感じています。住宅不動産業界の文脈に合っているとは思っていましたが、それが強くなりました。営業の打ち出しやマーケティングの担当者もさらにブラッシュアップしていると感じます。
われわれのスタッフはリブさんの担当者のことを信用して、色々と意見を聞いています。例えば、資料の打ち出しについて聞いたり、DMのことで質問したり、ウェブサイトのリニューアルも、こちらからは頼んでいないのですが、リブさんの方から「打ち合わせさせてください」と話がありました(多分、僕がわけわからないものを作り出すのではないかと心配しているのだと思います…笑)。
ウェブサイトのリニューアルについては、最初に契約した支援内容の要件に入っていません。ただ、どこかでその話を聞きつけて、「見せてください」と勝手に心配してくれています。そういう動きから、本気さを感じますし、真摯にわれわれのこと考えてくれていると伝わってきます。面倒くさいはずなのですが、スルーしない姿勢が信頼できます。スルーしていいことなのですが、自分から「時間を取ってください」と言ってくるのを見ていると、この人は本気で考えているとわかりますし、信頼できます。このレベルで信頼できる人はなかなかいないと思っています。
そういう動きができるのは、ビジネスとしての価値に立脚しているからです。ビジネスバリューに立脚した動きができるところが素敵ですし、余計に信用します。言われたことしかやらないのではなくて、本当にクライアントのことを考えていると感じます。ですから、われわれも細かいことは言わなくなります。そもそも工数と見積もりは合ったり合わなかったりするものですから、細かいことは言わず、お互いに信頼関係を構築しながら、お互いのビジネスレベルを上げることができます。
最終的には顧客満足につながれば良いわけですので、そこにつなげるための本質的なディスカッションができるのは良い点です。契約件数も重要ではありますが、突き詰めていけば、契約は真面目に取り組んでいれば出てくるものです。そことは別の話で、プロダクトの価値を高めるにはどうするか、ステージ上げていくためにはどうするかといったディスカッションができるところに支援の価値があると考えています。われわれもこれからさらに成長していかないとなりませんので、その都度、価値あるディスカッションができると思っています。
リブ・コンサルティングへのさらなる期待事項はありますか?
SaaSは、営業、マーケティング、サポート、サクセス、プロダクトのエンジニアを、螺旋階段のように強化していく必要があります。ボトルネックは常にあり、動いていきますので、リブさんには、住宅不動産業界の知見を生かした対応を今後も期待していますし、カバレッジの広さがあるため、これからさらに多くのことを相談できると思っています。
まだ構想段階では、共同でAIに取り組もうという話も出ています。そのような取り組みも含めて、伸び上がっていくステージの中で、住宅業界の課題とわれわれの成長していく上でのボトルネックの対応を支援していただきたいと思っています。
あとは、あまり他社の仕事を受けないでほしい、ということでしょうか。
担当者のことをとても信頼しているだけに、いつまでも僕たちとしっかり伴走いただきたいと思っています(笑)。
最後に、御社の今後の展望をお聞かせください
先述の通り、セールスエンゲージメントについては、マルチチャネル、1to1、オートメーションの三つの特徴を生かすことで、かつてないほど営業に寄り添えるようになったと思っています。
一方で、営業のデータが着々と貯まっていますので、このデータを活用したAI化にも取り組みたいと思っています。「いつ電話したらつながるか」といった分析は、数年前からアルゴリズム作ってあります。当社では70%の精度が出ていますが、さらに補正をかけ、営業担当者にサジェスチョンできるAIを目指したいと思っています。
営業の正解をどのように追求するかという点では、最終的な判断は営業担当者が行います。その際に役に立つサジェスチョンができるのが理想です。
また、オートメーションで自動化できる領域を広げ、サジェスチョンを通じた営業担当者へのコーチングや教育の提供も重視しています。
営業の中ではセルフラーニング・セルフコーチングというコンセプトもありますが、現実的には営業担当者は忙しく、無理だと思っています。住宅関連の知識を習得し、お客さんに対応していくだけでも大変ですが、昨今はオンライン化が進んでいます。オンラインでお客さんを惹きつけ、オファーを出し、タイムリーなアクションを取るといったことが求められています。この状況で、セルフラーニングは難しいでしょう。
ですから、自動化できるところは自動化を進め、コーチングを提供していくことが重要です。
その際のポイントは、営業担当者の個性を生かした内容にするということです。
人と人をつなぐのが良縁で、ロボットと結びつけるのではありません。考え方としては、営業担当者にとってのパワードスーツを作るのに近いと思っています。ファイナンスのアドバイスであればロボットアドバイザーで良いと思いますが、家を建てるというのは経済合理性だけではありません。得損だけなら家を買うより賃貸のほうがいいのではないかという議論も未だにあります。そうではなく、お客さんと営業を人と人という視点で結びつけるコンセプトでAIを作っていきたいと考えています。