お話を伺った方
株式会社ヒロ建工
代表取締役 吉澤 広司 様
Company Profile・・・・・・・・・・・・・・・
1989年創業、1999年株式会社として設立。木造建築にこだわり、分譲住宅や賃貸用物件の設計、施工を手がける。不動産ポータルサイト「SUUMO」の施工会社アクセスランキングで常に上位を獲得している。
ヒロ建工の特徴を教えてください。
他の工務店とのいちばんの違いは、約40人の従業員のうちの半数が女性である点です。男性中心になりがちな業界の中で、女性が大活躍しているのが当社の強みですし、女性が働きやすい職場環境を作ることにも会社として熱心に取り組んでいます。こうした点がわが社の大きな特徴です。
事業面では施工に強みがあります。私の父は宮大工で、工務店を経営していました。私は幼い頃から父が鋸で刻んだり、かんな削りする姿を見てきましたし、私自身も大工となり、父の元で修業を積んできました。現在、私たちは施工の品質面でお客様に高く評価いただいています。その背景には、30年にわたって大工仕事の現場に携わってきたことや、地元である埼玉県で事業を行ってきたことなどが背景にあるのだと思います。
物件のデザインやコンセプトの面ではどのような点を重視しているのですか。
当社は単に住宅を作り、販売するモノ売りの経営ではなく、お客様のライフスタイルを豊かにする「コト売り」の経営を主軸としています。最近はコト消費という言葉をよく耳にするようになりましたが、当社はそれ以前からお客様のライフスタイルに目を向け、快適に暮らすだけでなく、心も豊かになれる家づくりに取り組んできました。そのような経営方針もお客様に評価いただいている一因だと思います。社内においても「お客様が心豊かに暮らせる家・街をひろげていく」ことを重点事項と位置付けて、家づくりよりも大きい街づくりの視点を大切にしています。
ユニークなコンセプトの一例として、最近は小屋をキーワードとした小さな物件の建築も手がけていますね。
はい。個人的に昔から小屋のようなスモールハウスに興味があり、大人の秘密基地のような建物や、近くに住む人が自然と集まってくるコミュニティの場を作りたいという思いがありました。社会的にも暮らし方が多様になり、かつてのように大きな家に憧れる人だけでなく、小さな家を持ったり、オフィスや店舗として使うといった需要が大きくなっています。小屋は、住まいに仕立てることで暮らし方を提案できますし、オフィスなら働き方、店舗ならコミュニティづくりの提案ができます。小屋をキーワードに新しい価値を生み出していきたいと思っています。
コンサルティング会社を使おうと判断した背景を教えてください。
リブ・コンサルティングと最初に接点を持った当初は、紹介を通じた受注を増やしたいと考えていました。将来的に紹介100%でお客様を増やしたい、そのためにはどうすれば良いかと考えていたときに、リブ・コンサルティングから提案を受けたオーナーズクラブ(ヒロ・オーナーズ・クラブ/HOC)の考え方に共感し、支援を頼みたいと考えました。
HOCは、当社で家を建てたお客様をクラブに迎え、友人などを紹介していただいた場合に広告宣伝費として使っていた分を還元する仕組みです。広告や宣伝よりも紹介に重点を置く仕組みに魅力と将来性を感じましたし、クラブを通じた紹介も増えつつあり、よい循環が生まれているのを実感しています。
HOCはCRMプロジェクトの主要な施策にもなりました。顧客との接点についてはどのような変化を感じますか。
成果はいくつかありますが、大きかったのは顧客アンケートを実施したことだと思います。最初はアンケートの効果に懐疑的なところもあったのですが、実施してみるとお客様が忌憚なく意見を書いてくれます。それまで見えていなかったお客様の不満が把握できるようになりましたし、毎月定例の全体会議でアンケート内容を共有し、改善策などを考え続けた結果、社員の意識も変わりました。餅は餅屋のプロ意識が向上するとともに、お客様一人ひとりに満足してもらうための行動や言動を主体的に考えるようになったと感じます。
コンサルティングの評価をお聞かせください。
当社は過去にいくつかのコンサルティング会社を活用してきましたが、今までにないくらいコンサルタントの方の一人ひとりが優秀だと感じました。また、工務店をはじめとする住宅業界のいろいろな企業を見ている中でも、当社の課題を察知、理解するのが早く、改善していくための提案力も高いのが特徴だと感じました。
今後の展望をお聞かせください。
供給物件数で埼玉県ナンバーワンを実現すると同時に、オンリーワンの方針を重視し、コンセプトやデザインの独自性を高めたいと思っています。当社は創業から数えて約30年の実績があり、住、食、健康の三つを主要な事業分野と捉えてきました。住宅事業だけではなく他の事業についても、「静」と「動」という異なった要素を織り交ぜながら今後も新たな仕掛けをしていきます。心の豊かさを中心に置く経営は今後も大切にしたいと思います。
リブ・コンサルティングは、業績、仕組み、人財育成、従業員満足、顧客満足の5分野にてクライアントを支援しています。これから重点的に取り組みたい分野はどこですか。
業績、仕組み、顧客満足に関しては、前述したCRMプロジェクトを通じて期待した成果を出していただきました。そのため、次の課題は人財育成と従業員満足になると思っています。不動産や建築業界の特性として他の業界と比べて人の入れ替わりは多いですし、当社においてもここ数年で事業内容や規模が急激に広がったため、その過程で人が入れ替わっています。一方、当社はこれから2〜3年の目標として棟数を伸ばそうと取り組んでいます。そのためには拠点展開が必要ですし、新たな拠点を任せられる人財も必要です。そのような人財を育て、一緒に次の成長を実現していくためには、従業員満足度の向上や評価制度の改善が重要です。こういった組織面についての施策もすでにリブ・コンサルティングとともに進めているところで、モチベーションが高まりやすく、内容がわかりやすい制度を作り上げたいと考えています。その過程では、スタッフの中で変化に対する抵抗や反発が生まれることがありますが、それも成長に必要な痛みと捉え、今後も引き続きリブ・コンサルティングとともに取り組みたいと思っています。