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若手強育Vol.5 「褒める」と「叱る」の使い分け 

御社の若手メンバーは、モチベーション高く仕事が出来ているだろうか。

 

集客が減り、お客様の購買熱も上がりにくいタイミングでは、

営業活動をしていても中々成果が上がらず、

モチベーションが保ちにくくなって当然である。

 

 

 

 

それでも上司としては

「新人だからまだ売れないのは仕方ない」

「仕事の楽しさを覚えながら、ゆっくり成長してくれればいい」

などと悠長なことも言っていられないのが現実だ。

 

 

 

 

しかし上司の余裕がなくなると、

「なるべく早く力をつけてほしい」という気持ちが空回りして

若手に対して必要以上に厳しく接してしまいがちである。

 

 

 

 

実際、若手メンバーへの指導が、

「あれができていないからだ」

「もっとこうしろ」

と「叱るだけ」になっていないだろうか?

 

 

 

 

若手メンバーを成長させるためには、

「褒める」と「叱る」をバランスよく使い分けることが不可欠だ。

 

 

 

 

 

■ピグマリオン効果とゴーレム効果

 

 

 

 

心理学の研究で、「ピグマリオン効果」と「ゴーレム効果」

という研究がある。

 

 

 

 

この研究では、ある学校の小学生に知能テストを行い、

そのなかから無作為に数名の生徒を選んで、

「この子たちが伸びる」と偽りの情報を教師に伝えた。

 

 

 

 

それを信じた教師が、その子たちに期待をこめて指導したところ、

本当にぐんぐん成績が伸びていったというものである。

 

 

 

 

これがピグマリオン効果と呼ばれるものである。

 

 

 

 

 

逆に、「期待」をかけられず、

「この子はダメだ」「ここがダメだ」と言われ続けると、

本当にその通り「ダメな子」「できない子」になってしまう。

 

 

 

 

これがゴーレム効果である。

 

 

 

 

 

叱る本人は「期待しているつもり」で叱っていたとしても、

叱られる側に伝わっていなければ、「自分はダメだ」と感じ取ってしまう。

 

 

 

 

 

それを避けるためには「叱る」だけではなく、

「褒める」ことも同じくらい必要なのだ。

 

 

 

 

 

では、なかなか成績が上がらない中で、どうやって褒めれば良いのか。

2つほど、ポイントを挙げてみたい。

 

 

 

 

 

1)プロセスを褒める

 

 

 

結果が出ていなくても褒められるものは何か。

それは、プロセスにおけるよい行動そのものである。

 

 

 

 

 

例えば、初回接客でアポが取れなかったとしても、

そこまでのプロセス、つまり接客内容で良かった部分は無いだろうか。

 

 

 

 

「あのお客様は慎重だったから、結果としてアポは取れなかったね。

だけど、間違いなく良い印象は持って帰っていただけたと思うよ。

○○さんは、お出迎えの時の笑顔とか、お子様への気遣いとか、

そういったホスピタリティの部分がすごく良くなっている。

うちの会社の説明も上手になってきたから、

繰り返していけば絶対成果が出るよ」

 

 

 

 

と、結果が出なかったときこそ、

プロセスの中で褒められる部分を探してあげることで、

部下は良い行動を継続できるようになる。

 

 

 

 

 

2)「上司」ではなく「部下」の目線で褒める

 

 

 

 

入社してから叱られてばっかりで、

本当に自分は成長しているのだろうか。

ひょっとして、この仕事は自分には向いていなかったのではないか・・・。

 

 

 

 

自分自身がいつまでも成長を感じられないと、

マジメな人ほど「負のスパイラル」に陥ってしまう。

 

 

 

 

そうならないためには、「部下の成長を感じている」と

伝えてあげることが必要である。

 

 

 

 

上司から見ると「出来て当たり前」のことであっても、

若手メンバーにとっては「この一週間で出来るようになったこと」

があるのではないだろうか。

 

 

 

 

 

朝出社した時、元気な挨拶できるようになったね!

分からないことがあった時、ちゃんと相談してくれるようになったね!

 

 

 

 

 

このような、社会人として当たり前のことであったとしても、

「できなかったことができるようになった」ことを実感することが、

若手メンバーにとっては大切なのである。

 

 

 

 

■叱る時は「2ストライク1ボール」で

 

 

 

 

それでも、やはり

「叱らなければいけないこと」「指摘しないといけないこと」

の方が多いのが現実だろう。

 

 

 

 

その際には

「良くなっていること2つ+まだまだ改善が必要なこと1つ」という

「2ストライク1ボール」のルールで指摘すると良い。

 

 

 

 

改善すべき点を自覚しているとしても、

「叱られた」というマイナスの感情が先に立ってしまうと、

なかなか受け入れられないこともある。

 

 

 

 

それが、「○○は良くなっている」とプラスの面を伝えられてから、

マイナス面を指摘されると、フラットな気持ちで聞き入れやすくなる。

 

 

 

 

叱りたい気持ちをぐっと我慢し、

まずは「○○は着実に良くなっている。○○も良い」と褒めたうえで、

改善してほしいことを伝えてみると効果的である。

 

 

 

 

 

若手メンバーの成長のためには、

本人の「成長したい」というモチベーションが不可欠である。

 

 

 

厳しい環境のときこそ、

モチベーションを保つための「褒める」ポイントを、ぜひご活用いただきたい。