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海外進出コラムvol.8 日本企業の海外進出パターン

各国に進出している日本ビルダーの状況を見ると、日本では住宅事業を行っている企業様が、海外では他の事業を行っているケースが多く見られます。
進出している企業様にお話を伺うと、進出国における現在の住宅市場進出の難易度から、住宅事業周辺の別事業で基盤をつくり、戸建の新築市場の拡大を待っている企業様も多くいらっしゃいます。
今回は、海外進出において多く見られる4つの事業パターンそれぞれのポイントをお伝えします。


 

1.リフォーム事業で進出

海外進出をするビルダー様の中で、比較的多いパターンがリフォーム事業での進出です。
東南アジアの新築戸建・新築マンションなどは内装を仕上げず引き渡しをすることが当たり前の国も多いため、新築物件引き渡し時にもリフォームニーズが発生します。
また、近年増えている日本の飲食業などの海外展開に付随した店舗内装でも、

ⅰ納期通りに確実に納められる
ⅱ 日本風の内装でイメージ通りに仕上げられる

という点から日本企業のニーズは多いようです。新築戸建への事業展開を考えた上でも、協力会社とのルート強化や職人の施工技術力強化の点で多くのメリットがあるといえます。

 

2. 不動産仲介・管理事業で進出

不動産仲介会社様に限らず、ビルダー様の展開パターンとしても不動産仲介・管理事業での進出は一定数が見受けられます。
不動産仲介には日本人駐在員からの安定的なニーズがあります。
企業から認められた家賃の中で、家事代行サービスやフィットネスジムの会員権などを含めて契約することが差別化要素となっているケースもありますし、万が一の水漏れなどで日本語での対応が可能な点は、日本人駐在員が日本の不動産仲介会社を利用する強い動機となっています。
不動産管理についても、サービスアパートメント事業で進出するハウスメーカー・ゼネコンが増える中で日本品質の管理が求められていますし、現地企業からもきめ細かい対応ができる日本の不動産管理は人気のようです。
新築戸建への事業展開を考えた場合のメリットは、エリアごとの不動産相場およびニーズの把握と不動産業者とのパートナーシップ強化が挙げられます。

 

 

3. その他の事業で進出

建築業以外の事業で進出をするケースも一定数あります。
ハウスメーカー・ビルダーを問わず、海外進出をして駐在を派遣してからパートナーを見つけて戸建事業で事業化するまで2~3年間かかるのが一般的です。
その間の情報収集拠点および運転資金を稼ぐことを目的に、飲食店などを経営する選択肢もあります。
また、設計のアウトソーシング拠点を海外に持つ企業様も増えています。
東南アジアでは、大学卒業レベルの人財が日本人の10分の1程度のコストで雇用ができるため、日本人設計メンバーの配置転換をすることでコストダウンメリットも小さくないようです。
新築戸建への事業展開を考えた上でのメリットは、一定数の現地社員を採用できることから海外社員の特性を早期につかめること。
また、設計外注事業に限れば、資格者を雇用できることから新築戸建事業をするためのライセンス取得に必要となる要件を満たす可能性があることが挙げられます。



4. 新築戸建事業で進出

最初から新築戸建事業で進出される企業様もいます。
新築戸建事業での進出のポイントは、

ⅰターゲット選定(高所得者or中間層)
ⅱパートナーの見極め

です。
ここまでのコラムでお伝えした通り、東南アジア各国は貧富の差が激しく、高所得者層の建物価格と一般層の建物価格で10倍もの差が開くことがあります。
自社の強みを棚卸した上で、どちらをターゲットにするのかを明確にした進出戦略を練ることが必要になります。
また、海外で新築戸建事業をする上では、パートナーの見極めも重要な項目になります。
外資系企業の土地所有に規制がある国も多いですし、規制がなくても外資系の企業が単独で良い土地情報を得ることは至難の業です。
最初から新築戸建事業で進出するケースでも、パートナーに時間をかけ、慎重に進めることをお勧めします。
①~③のパターンでは、新築戸建事業と比較してハードルが低く海外進出がしやすく、進出国で新築戸建需要が伸びるタイミングに備えることができます。
皆様もぜひ、さまざまなパターンで海外進出をご検討いただければと思います。




※「新建ハウジング」弊社コンサルタント寄稿記事より転載


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